心と体の性別が一致しない性同一性障害。
戸籍の性別変更が可能になって間もなく11年、これまで、全国ではおよそ5200人、県内ではおよそ100人が戸籍の性別を変更し、治療には400人以上があたっている。
県内で暮らす性同一性障害の当事者は、全国的にみても、自身の問題について活発に発言したり、交流する機会が多いとされ、そんな元気な沖縄から学ぼうと、去年、性同一性障害に関する学会も初めて開かれた。
そして今、当事者だけでなく、社会的な動きも広がりを見せている。
当事者が子どもを持つための手段の一つである生殖補助医療を巡っては、産まれた子どもの法的な親子関係を明確に決める法律がない中、2013年12月、最高裁で、性同一性障害で戸籍を変更した男性と、精子提供で妻が産んだ血縁関係のない子が「父子」と認められる判決が出た。
これらの状態に対応しようと、生殖補助医療に関する議員立法による法案をまとめ、国会で成立させようと、準備が進められている。
また、今年4月には、文部科学省が「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応」を求める通知を全国の教育委員会に出したほか、東京都渋谷区でも同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例が出されている。
この条例は、戸籍の性別変更をしていない性同一性障害のカップルにも適応されるもので、この条例施行を受け、那覇市もパートナーシップ制度導入に向けて前向きに検討する姿勢を示している。
性同一性障害といっても十人十色。
幸せの形も、体や戸籍の変更を望むのも様々。
番組では、女性から男性へ戸籍を変更した澤岻良心さんの家族をつくる営みを通して見えた課題を社会に問いかける。