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きょうは沖縄からです。世界を相手に「平和」の願いを伝え続けるある陶芸家の、今年にかける思いをご紹介します。

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

芸術の都・フランス、パリ。訪れた人々がのぞき込んでいるのは沖縄の澄み切った青い海。この作品は石垣市の陶芸家・金子晴彦さんの石垣焼です。

金子さん「フランス国民の皆さんが非常に心待ちにしている展示会ですから、それで選挙そっちのけで皆さん来てましたけどね」

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

沖縄県石垣市にある「石垣焼窯元」。この日も大型バスが途切れることなく訪れます。

金子さんが生み出した「石垣焼」。銀の滴のような斑点が特徴の「油滴天目」をベースに、陶器とガラスを融合させた沖縄で唯一の技法で、沖縄の海を思わせるブルーを発色させます。

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

多くの人を魅了する作品はどのように生まれるのでしょうか。

金子さん「(Qインスピレーションは何から得る?)自分の原点ですので、迷ったときは海を見る」「時間をかけてゆっくりすればまた取り組むことができる」

金子さんのアトリエはどこからでも海を眺めることができます。

またもう一つアトリエの特徴が。それは窯がとても多いこと。なんと9つもありました。

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

金子さん「作って乾燥して素焼きするまでに8割ぐらい作品が壊れてしまって。実際には(成功率)5%ぐらいになってしまいますね」

それだけに、出来上がった作品はとても愛おしいと言います。

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

幼少期に与論島に移り住んだ金子さん一家。そこで金子さんの父親は「与論焼」を生み出します。

金子さん「(与論島が当時)日本の最南端だったもんですから。与論島に窯を起こして沖縄を眺めながら、ある意味、過去に浸っていたのかもしれません」

実は金子さんの父親は元特攻隊員でした。

金子さん「戦友たちが特攻で沖縄でみんな亡くなったというのもあると思うので。亡くなった方々に思いを馳せたと思う」

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

仲間が眠る海に一番近い場所で作品を作り続けた父親。その技と志を継ごうと、金子さんは20年前、土や鉱石が豊富な石垣島に工房を開きました。

「石垣ブルー」の作品は多くの人の心を惹きつけ、県内外で展示会を開催。そして去年11月には世界最大級の博物館「大英博物館」に金子さんの作品が2点収蔵されました。

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

金子さん「本当にありがたいというか、名誉ですね。私にとっては大英博物館は世界一の博物館だったもんですから、夢が現実になって、正直自分も驚いている」

そんな金子さんには2つの夢があります。

金子さん「一人でも多くの方に、この希望のブルーを、幸せのブルーを届けていきたいなと思っています」

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

金子さんはモンゴルを定期的に訪れ、貧しい子やハンディのある子に陶芸に触れてもらう活動をしています。

金子さん「陶芸の分野で与えられるものは、ぜひ与えていきたいなと思っています」

そしてもう一つの夢は…。

金子さん「私は沖縄の皆さんの代わりに、平和に対する思いをこういう文化を通して届けていけたらなと思っています。この平和の色であるブルーを世界中へ届けていきたいと思っています」

「石垣ブルー」に込めた平和への願い

石垣焼に浮かぶ沖縄の青。この美しい海で二度と悲しいことがないように。亡き父親の願いは金子さんの夢となっています。

「石垣ブルー」に込めた平和への願い