県内にいる、あるいはいることが予想されるこれらの生物を含め、およそ100種が特定外来生物に指定され、販売や飼育、栽培、譲り渡しや譲り受けも禁止されています。この外来生物を規制する法律が2005年に制定されていますが、実は私達も外来生物を増やす加害者になる可能性があります。比嘉記者です。
推定生息数、3万から5万匹。いまや石垣市の人口を上回る数のオオヒキガエルの捕獲作業が続いています。
比嘉記者「ちょうど6月の梅雨の時期から夏場にかけ大量発生するというオオヒキガエルです。ご覧の通り非常に大きくなります、これでも小さい方で、大きくなると20センチ近くになるそうです。このオオヒキガエル、もともと石垣島にいるものではないんです」
南米原産のオオヒキガエルは、島のサトウキビにつく害虫を駆除しようと30年前に導入されました。しかし、その後大繁殖。
環境省 那覇自然環境事務所・勝部五葉自然保護官「もともと石垣島にいるカエル類とエサをめぐって競争が起こり、在来のカエル類を圧迫していると考えられます」
石垣島では先週からオオヒキガエルの大がかりな捕獲活動を開始しました。市内の有志を募って、全島捕獲です。
参加者「人間の都合で持ち込んでるのにこんどは生態系を乱すからって。環境省もそういうことに気がついて、やはり捕獲もやんなきゃいけないということになってきたんで、それはそれで協力して」
在来種を守るための捕獲作業。これは環境省があらたに制定した「外来生物法」の防除実施計画にもとづくものです。
環境省 那覇自然環境事務所・阿部慎太郎野生生物課長「今まで外来生物というのを問題視していなかったという過去の歴史がある。日本の生態系にとってよくないことだという認識がきちんと広まってきたということで法律ができた」
八重山地域にはサキシマガエルやハナサキガエルなど、島ごとに進化をとげた貴重な在来種が多くいます。外来生物法ではその在来種をはじめ、地域の生態系を保つことがその目的です。
県内で特定外来生物に指定されているもののうち、実際に防除計画が実施されているのはオオヒキガエルとマングース。このうちマングースは、やんばるの希少な生物を捕食しているという実態も報告されていて、被害は深刻です。
石垣市の高校教師、藤本先生はオオヒキガエルの実態を高校生とともに7年にわたり調査、生態系への影響を早くから訴えてきました。
八重山商工高校・藤本治彦教諭「外来種なんですけど、高校生にとっては生まれた時から(オオヒキガエルが)いて、在来種だと思ってるんです。外来種というイメージをちゃんと持ってもらおうと思って」
藤本先生の調査の結果、オオヒキガエルも八重山の希少な在来種を捕食していることがわかっています。オオヒキガエルの導入は、環境や生態系に対する意識がさほど高くなかった時代のこととはいえ、人間が安易に生き物を移動させることの危険性を藤本先生は警告します。
藤本教諭「それだけを見ればよいことだと思うんです。農薬も使わないし、自然に優しい農法でしょう。ただこういう生き物を持ち込むときには、それだけじゃなく周りのことを考えないと今回のようなことが起きるでしょう」
ペットブームのいま、外来生物の問題はさらに広がっています。指定生物のなかには水生植物や小動物など、ペットショップで気軽に購入できるものも多くあり、途中で逃げ出したり捨てられたりして野生化しているのです。
駆除されたあと、処分されてしまう生き物たち。このような事態を生む可能性を私たちは持っているのです。
阿部さん「私たちも特定外来生物を知ってもらうということをしながら、皆さんも特定外来生物である、ないに関わらず、動物を元の位置から動かすということに慎重になってほしいと思います」
動物を人間の勝手で移動させることは大きなリスクがあり、地域の生態系を壊すことや最終的に駆除や殺処分などの結果を生む可能性が私達にもあるということを考えなければならないです。