さて、この1年を振り返る「回顧2017」です。きょうはことしの沖縄経済を県内の4人のエコノミストに振り返ってもらいました。そこから見えた「成長の鍵」とは?
伊波沙友里「様々な出来事があった2017年、今年が、沖縄の経済にとってはどんな一年だったのか、県内のエコノミストの皆さんに、今年、一番注目したニュースについて聞いてみます。」
まず最初に伺ったのは日銀那覇支店。松本支店長が選んだ今年のニュースは・・・・
日銀那覇支店が発表する短観が、23回連続でプラスとなったニュースです。
松本支店長「バブル経済並み、ないしそれを超えるようなカタチでの景気の拡大の状況なのかな」
一方、課題も見えてきたといいます。
松本支店長「人手不足の強まりというのはあるのかな。このへんの所が伸びていく需要をしっかりと捉える時に制約にならないかがポイント」
そして来年は、この成長力の真価が問われる一年だと指摘します。
松本支店長「これ(今の成長)をしっかりとしたものにしていけるかどうかが問われる一年になるのかな」
続いてお聞きしたのは、コンサルタントファーム、ブルームーンパートナーズの伊波さん。
今年11月、北海道の物産を扱う専門店が国際通りに出店するなど、外国人観光客の急増による、沖縄ビジネスの日本化に注目します。
伊波さん「県外系のドラッグストアとか、街中に増えてきているのを感じると思うんですけど、それも日本化を求められていることに対応する商売上の現れ。その先に求めているのは実は沖縄ではなくて、日本であるということ。2018年はさらに国際化が進むとみています。それに対応した街づくり、ハードの整備、受け入れ環境の整備がさらに求められる一年になると思います」
そして、県内企業の証券市場への上場を支援する県内唯一の審査会社の代表、高山さんは。
今年2月にバンコク、そして11月にはシンガポールへと沖縄と海外を結ぶ直行便が次々と就航した2017年。その影響は、観光だけでなく、ビジネスにも広がっていると指摘します。
高山さん「今沖縄のハブというものが物流から始まって、人の流れができて新たにモノの流れ、人の流れができて商流というビジネスが生まれつつあって、そこに金融だったり、技術、色んなハブの機能が追加されてきて『ハブの領域』が拡大していく。そういった可能性が感じられる一年だった」
一方でこれだけ地理的優位性に恵まれた場所もありませんから、沖縄に色んな機能が集積してきて、ここからその機能を使ったビジネスを作っていく、そういうチャンスが集まる場所にはなれると思っております」
最後にお聞きしたのは、大手証券会社や、県内でのホテル経営を経て現在、大学教授として活躍する樋口さん。
先月ハワイの観光局が発表した、ハワイの今年の観光客の見込みは、934万人。この数を、沖縄が超える可能性が出てきたというニュース。
樋口さん「このニュース見た時、ドッキリしたんですよ。実は決していい意味ではなくて、ハワイと沖縄と比べて同じだけのお客さんが来ているにも関わらず、観光収入が2.5分の一。日本人はハワイにも沖縄にも行く訳です。同じ人がハワイに行ったら2倍近くのお金を使う。僕たちは質を守るために数以外のものを見続けなければならない」
樋口さんは、加熱する県内の開発に警鐘を鳴らします。
樋口さん「観光客数の多さ、伸び率、そういうものを見て(投資家は)大量の資本を投下します。それは社会が守らなきゃいけない。僕たちが大切なものは何かということを投資家に伝えていかなければならない。彼らの考えるままに数字の数合わせで建物を作り事業を増やしても、ここにいるウチナーンチュ社会のこの社会というのは質が上がらないと思う」
沖縄経済を取り巻く環境が大きく変わった2017年。好調な伸びを見せる県経済。一方で多くの課題も山積しています。
来年はこの好調さをどう維持できるかが問われる一年となりそうです