みなさんは、夜間保育園というとどんな印象をお持ちでしょうか?多様な働き方や家庭の事情に対応する夜間保育園の現場から、今私たちが暮らしているこの社会のかたちを見つめます。
『(夜間保育園が)あるから夜預けて働こうじゃなくて、働くが先で、どうしても生活のために働かざるをえない』
観客が食い入るように観ているのは、今月2日から桜坂劇場で上映しているドキュメンタリー映画「夜間もやってる保育園」です。
『夜一人で過ごしている子どもがいるかもしれないじゃないですか?』『子どものためにって感じですね、子どもが夜間も安心できる場所』
映画では、規則正しい生活を送る子どもたちの様子や保育の質を高めようと奮闘する保育士の姿、そして、子どもを大切に思う保護者の子育てをめぐる葛藤と喜びが淡々と描かれています。
『心ぐるしいというか。いいのかというのはちょっとあったりします』
大宮浩一監督「夜間保育というのは、私は全然詳しいわけではないんですけど。自分にできるのか、多少迷いはあった」
そう語るのは、これまで介護を題材にした映画などを手掛けている大宮浩一監督です。保育と無縁だった大宮監督は、ある夜間保育園の経営者から届いた「夜間保育園の偏見をなくしてほしい」という一通の手紙をきっかけに、東京や北海道・沖縄などの夜間保育の現場を歩きカメラを回す決意を固めました。
大宮監督「忙しい仕事と育児の中、ぱつんぱつんのお母さんたちがたくさんいらっしゃいました。ちょっと触ると破裂しそうなくらい。少しほっとできるところ、お父さん、お母さんの元気の源になっているんだなって」
観客「いろんな仕事をもって、いろんな働き方している人がいるわけだから、なんかそういうところを支える場所があるっていうのはすごくいいなーって思った」
ただ、認可の夜間保育園は全国に80か所ほど。多様な働き方や家庭の事情などでニーズはあるはずなのに、極端に受け皿が少ないのも実情です。
映画にも登場する那覇市の「玉の子夜間保育園」は、20年前に県のモデル事業として始まりました。しかし、当時は夜間保育園に対する偏見や暗いイメージが強かったと言います。
高良理事長「議会で『夜預けると母親をだめにする』とある議員さんからのいろんな意見があったそうなんです。やっぱりそういう風にしか思っていなかった夜間保育園なので、スタートさせるのはすごく苦労はした」
現在夜間保育を利用しているのは22人。保護者の仕事は、美容師や飲食店関係、マスコミなど様々です。子どもたちは、夕方5時になると一つの教室に集まります。
そこでは、規則正しく夕方にみんなで食事をして、お風呂に入り兄弟のように戯れ活動をしていました。
保護者(マスコミ業)「仕事の時間が不規則で、急に決まった時間に迎えられなかったりする。働きながら子どもを預けられるというのはとても助かっています」
保護者(接客業)「夜間保育がないと今の職場も入れなかった。どうしても遅番までやらないといけないときもあるので」
映画で描かれている夜間保育園には、家庭的な温かさの中、園児はもちろん保護者にもよりそい安心して過ごせる居場所がありました。
保育士「あんまりきょうは激しく泣かなかっですよ」保護者「だんだん肝が据わってきたかな」
大宮監督「生活の一部を記録した作品です。夜間保育園という舞台は借りてますけど、子どもの舞台を作っているのは私たち大人なんです。子どもの世界を垣間見てもらって、私たちの社会っていうのはどういう社会なんだろうってことを一歩止まって、少し思いを巡らせるきっかけになればいいなと思います」