Qプラスリポート。きょうは沼尻アナのリポートです。
今回私が取材に伺ったのが西原町棚原(たなばる)で行われた十五夜祭です。この祭り、その特徴は12年に1度しか行われないこと。そこには棚原の人々の思いが詰まっていました。
西原町棚原の丘の上に設けられたあしびなー
地域の人々の手で作られたこの舞台で先週末行われたのが「棚原酉年12年まーるあしび」
昔から地域で信仰されてきた「ミルク加那志」が酉年生まれであることに由来しこのまーるあしびは12年に1度だけしか行われません。
男性「古里の文化は良いね」
男性「素晴らしい棚原のあしびですから、ゆっくり見ていってください(笑顔)」
棚原に伝わるまーるあしび。その起源は定かではないということですが棚原の人々にとってかけがえのない祭りとして受け継がれてきたと言います。
西原町棚原自治会城間盛順区長「(昔は)農作業を終えての楽しみとしてやっていたんじゃないかと思うんですよ。酉年ということになると、シマから出て行った方々もみんな戻ってきて。ひとつの拠り所としてみんなが盛り上げてきてくれていますね」
2日間に渡って披露される演目は30あまり。その中で、この地で古くから継承され、祭りのメインとも言われるのが、組踊「雪払い」(ゆちばれー)
その大役に、今回初挑戦した男性がいました。
沼尻アナウンサー「外まで声が響いていますね」
12年に1度しか行われない棚原酉年12年まーるあしび。今回、初めて組踊「雪払い」に挑戦するのが兼次克尚(かつたか)さん。
務めるのは物語の主役の1人「伊祖之子」(イジヌシ)です。
兼次克尚(かつたか)さん「前回(12年前)やった時が中学生で。ずっと練習している先輩たちを見てすごいなと思って、自分もいつか出てみたいなと思いながら」
先輩たちへの憧れと、周りからの推薦もあり、この役に挑戦することを決めた兼次さん。
指導するのは、祭り全体の踊りを統括する踊り班の班長、宮城貞一さんと前回・前々回と「伊祖之子」(イジヌシ)を演じた城間誠さん。
しかし、祭りは12年に1度、この時の長さが祭り継承の壁にもなっていました。
城間誠さん「自分も12年前とかも演技してみた部分もはっきりと覚えてはいないんですよ」
これまで、口伝で継承されてきた部分が多く不安定な側面もある伝統の祭り。
そこで前回からは本番を収録しDVDで残すなど工夫がなされています。
それでも、組踊のセリフはすべて使い慣れていない方言。そう簡単には覚えられません。
兼次克尚さん「本番では、前回同様肩を並べるように、越すような気持ちでやりたいと思います…(Q.ずっと目線が下向き加減なんですけど、大丈夫ですか?)これは不安、自信のなさ、自信のなさがもう…」
さらに本番まで1週間あまり。
地方(じかた)も加わっての稽古でも兼次さんは、音に合わせての動きに戸惑い、覚えたはずのセリフも出てきません。
宮城さんからは厳しい言葉も。
宮城さん「あと1週間、台詞を練習することね、あと基本のキレイな立ち方も、三味線の音に乗せて歩くこと」
兼次さん「12年に1回ということで地域の皆さんも期待して、楽しみにしている部分もあるので。引き受けたからにはしっかり受け継がないといけないという部分もあるので」
残り1週間、ちょっとした時間でも練習を繰り返す兼次さん。本番での成功を目指しました。
まーるあしび2日目の最終日。順調に演目が進んでいきます。ところが…
突然の大雨。それでも、棚原の人びとの思いが通じたのか雨があがり、懸命な復旧作業により再開。いよいよ、組踊「雪払い」が幕を開けます
物語はクライマックスへ。
終わった直後はやや放心状態。セリフを間違えることなく、見事演じ切りました。
兼次さん「練習の時よりかはうまくいったと思っています。次回だけじゃなくてさらにずっと続けていけるように頑張っていきたいと思います」
宮城さん「上出来だよ」
兼次さん「ありがとうございます!」
祭りの最後は、この伝統がより発展していくよう12年前から新たに始まった「ミルク太鼓」
地域の絆が見えた「棚原酉年12年まーるあしび」また12年後、そしてその先へとつながっていきます。