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国が辺野古でのボーリング調査に着手したのは、2014年の8月。当初、ボーリング調査は、24地点で調査を行うとされていました。

その後、埋め立てをめぐる国と県の法廷闘争に伴い、工事休止期間もはさむなど、ボーリング調査は当初の国の想定より2年遅れで進みましたが、今年2月のボーリング調査再開の時には、残り1か所にまで迫っていました。

しかしこの時点で国は大型調査船を投入。この船で13か所の追加調査を行うとして、およそ2か月にわたって海域を調べました。

なぜ大規模な追加調査が行われたのか。元土木技師として技術的な面から新基地建設の問題点を追及している北上田毅さんは、工事計画全体が不可解な経過をたどっていると指摘します。

北上田氏「受注した業者が施工範囲を念のために再調査する、そういうボーリング調査だという説明をしていたんです。基礎地盤の支持力に何らかの問題があって、再度ボーリング調査のやり直しを強いられている、そういった防衛局にとって想定外の事態が起こっているとしか考えられませんね。」

また追加で行われたのは、この作業船による調査だけにとどまりませんでした。ほかにスパッド台船やクレーン台船なども使用して、およそ30地点に上るボーリング調査を追加で実施したことが、後から判明したのです。

北上田氏「大浦湾の海底にはかなりの厚さの琉球石灰岩の層があるんです。大型のケーソンを設置するためには、地盤の支持力に何らかの問題が、琉球石灰岩の層に何らかの問題があったんじゃないかと。」

国は当初、埋め立て予定区域の中でも、一部、水深の深い海底で、ケーソンと呼ばれる巨大な箱を沈めて護岸を作る、としていました。北上田さんは、この「ケーソン護岸」の計画がとん挫しているのではないかと見ています。

北上田氏「今明らかになっているのは、大浦湾の中央部に、大型ケーソンの置き場、海上ヤードの設置が予定されていたんですけども、この間の情報公開請求で明らかになったのは、去年の12月末、3月末にいずれも海上ヤードの工事が取りやめになっているんです。一番可能性として考えられるのは、大型ケーソンの計画そのものがなくなった、ほかの護岸の工法に変更せざるを得ない状況が出てきたんじゃないか。」

実際の辺野古の海の中はどうなっているのか。それを示す資料があります。沖縄戦終戦後、アメリカ軍が現場を測量した地図。埋め立て区域の南東部、ちょうど滑走路の先端あたりで、水深が数mから20メートル台に急激に落ち込んでいると記されています。

また地図を分析した研究者によれば、新基地となる施設の東側の地盤が古い断層によって壊され、安定していない部分があるといいます。

地盤の弱さ、あるいは急峻な崖地に箱型のケーソンを置けないといった理由で、基礎の工法を大幅に見直さざるを得ないのではないか。きのう那覇港に現れた大型の調査船は、その計画を練り直すために、追加のボーリング調査を行うとみられているのです。

また国は、これとは別に、10月以降も改めて19か所でボーリング調査を実施するため、入札する業者の募集を始めています。海上ヤードの設置取りやめ。終わらないボーリング調査。工事計画は大幅な変更を迫られている可能性があります。

北上田氏「もし防衛局が必要な手続きをしないまま工事を強行しようとする場合はね、県民が抗議して、それを受けて翁長知事が毅然とした対応を取っていく。そういった対応を取っていく限り、防衛局にとっては工事そのものがとん挫する可能性まで出てきた、そういう状況だと思いますね。」