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先月、国会でのとある防衛大臣の発言を巡り県内では、「仮に辺野古に基地が出来ても普天間は返還されないのでは」と驚きが広がりました。なぜそんな発言が出たのか。リポートでお伝えします。

懸念が広がるきっかけとなったのは、国会での、稲田防衛大臣のこの発言でした。

稲田防衛大臣「米側との具体的な協議、またその内容の調整が整わない、このようなことがあれば、返還条件が整わず、返還がなされないということになりますけれども、そういったことがないようにしっかりと対応をしていくということでございます。」

大臣が指摘する条件。2013年の日米による統合計画では、普天間基地の返還に8つの条件が記され、緊急時の民間施設の使用改善も明記されています。

こうした条件がそろわなければ、普天間基地が返還されない。大臣が明言するのは初めてで、これには、翁長知事も懸念を示しました。

翁長知事「辺野古新基地が建設されても緊急時における民間施設の使用の改善について、米国との調整が整わなければ普天間飛行場が返還されないことが明らかとなり、大きな衝撃をもって受け止めております。」

辺野古での工事が着実に進められる一方で、その他の、条件面については、「これから」という、何も担保がない状態に対する懸念でした。

アメリカ政府を監視する役目を負う「会計検査院」による議会への報告書では、緊急時に使われる民間施設は、全国に12カ所の候補地があり、うち1カ所は沖縄県内とされていて、県は、それを那覇空港と推測、謝花知事公室長は5日の県議会で「絶対に認めない」と強く反発しています。

取材に当たった野島記者:

条件が整わないと返せないというのは、一見、当然のようですが、基地建設を進められる沖縄からすると、不安が高まる発言です。研究者は、問題点を次のように指摘しています。

沖縄国際大学・前泊教授:

密約の一部を、彼女はストレートにしゃべってしまったと私は受け止めている。

米軍関係者から何度も聞かされているのは、辺野古が新しい基地ができても、普天間は返さないよ。これまで通り運用するということを、米軍側は何度も言っている。

辺野古が出来たら、自動的に普天間を返すと。返してくれるように、米側とどういう交渉がなされているのか。もし返さなければ、何年以内に閉鎖して、そして返還するという話がちゃんとできているのかどうか。しない場合には、どういうペナルティが課せられるのか。そういう事が、表に出てこないと、担保されてると言えないですよね。

野島記者:

もう一つの問題点ですが、こちらは、きのうの県議会で、共産党の渡久地修県議が示した資料です。

英語なので、わかりにくいんですが、アメリカの会計検査院の98年の報告書で、こちらのアンダーバーのところには、緊急着陸の候補地として那覇空港が「対応可能」と具体的に書かれています。

前泊教授は、これについて、次のように指摘しています。

沖縄国際大学・前泊教授:

日本は有事法制の中で、国内の飛行場は、全て基地として使える態勢をとっているので、有事の際は、那覇空港も含めてすべて使うということになる。

有事の際に急に使うといっても難しいので、日常的にトレーニングを兼ねて、拠点拠点で使っていく。

給油とかいう形で軍民共用が既成事実化されていってしまう。その危険性が今回の発言の中にも出てきているので、注意しておく必要がある。

野島記者:

本来、こうした問題が、日米合同委員会という国民から見えないところで議論されているので、県民が不安に感じるのは、当然のように思います。