きょうご紹介するのはこちら、
「THIS IS A 海兵隊」「ONE SHOT ONE KILL」
という2本の映画です。映画のテーマは「沖縄の海兵隊」。監督のインタビューと共にご紹介します。
監督舞台挨拶の画先月、那覇市である映画の上映会が行なわれました。
観客女性「実際自分の目で海兵隊がどういうものであるのかを知りたいと思いました」
観客男性「ふれないでというか、知らないでおきたい世界を覗いたというような。だけどそれが現実の世界ですからね。そういう意味では鳥肌が立った感じがしますね」
映画の舞台は、サウスカロライナ州の新兵訓練施設。ここには、毎週500人の若者がやって来ます。到着するやいなや、教官に怒鳴り散らされ、羊のように頭を刈られる新兵たち。過酷な訓練が幕を開けます。
藤本監督「兵士になる若者たちが本当に幼く若い。僕自身がかつてそうだったように多くの日本の人たちは海兵隊といっても全然ピンと来ていないと思うんですね。どういうことをやっているのか。どういう存在なのか。沖縄でどんな訓練やっているのか」
カメラは、若者たちの幼い顔が12週間の訓練で兵士の顔になっていく様を捉えます。
「マリン・コー!(海兵隊)マリン・コー!(海兵隊)」
藤本監督「上官の命令に即座に喜んで従う。そういう精神性に変えるということですね」
海兵隊の任務は白兵戦。銃剣で刺し殺し、ライフルで撃ち殺す。こうした訓練を何度も繰り返します。
藤本監督「スイッチが入れば、意識しなくても人を殺せる技を身につけるということをやります。相手を自分とは同じ人間ではない人間以下のものとして認識させる。洗脳と肉体の記憶とそれから差別意識。この3つがそろって、戦場で人を殺せるようになるいうのがアメリカ軍のやっていることです」
卒業式無意識でも人を殺せる技術を身につけた若者たちは、この先どこへ向かうのか。もうひとつの映画には、本国での訓練のあと沖縄に送り込まれた元・海兵隊員たちが登場します。
アレン・ネルソンさん「沖縄の訓練はもっと激しかった。実弾をもっとたくさん使った。戦車やヘリも使った。こんな訓練をさせるのは戦場に向けた仕上げのためだ」
沖縄の基地からベトナムへ派遣されたアレン・ネルソンさん。2009年に亡くなるまで、戦場のPTSDに苦しみました。
アレン・ネルソンさん「村を攻撃して何十人も殺す。でもそれが全部女性と子どもだったり。やればやるほどやりたくなくなる。何か間違ってると。でもどうしてよいかわからなかった」
2つの映画が映し出す海兵隊の苦悩。映画のラストシーンは、沖縄で日々続けられるアメリカ軍の激しい訓練で幕を閉じます。
藤本監督「海兵隊と自衛隊が共に歩んでいこうとしている。そういう時代なわけだけどもやはり今ある海兵隊がどのようなことをやってきたのか、本当によーく知ってほしい。その上で、沖縄の海兵隊どうしていくんだということに踏み込んでいく手がかりにしてほしいと思っています」
こちらの映画に興味を持たれた方には、この週末、最後の上映会があります。上映会は、あさって日曜日、那覇市の県立博物館・美術館で午後2時から開催されます。