今月末にもといわれていた衆議院の解散総選挙は、麻生総理大臣が「政局よりも景気」を優先する考えを示したことで時期が全くわからなくなりました。そのあおりを受けているのが予定候補者やその活動を支える人たちです。選挙の時期が延びれば延びるほど経費がかさむだけに、事務所を預かる責任者の悩みも深刻になっています。金城記者です。
10月解散、11月総選挙を想定して走り出していた県内の予定候補者。9月末から10月初めにかけ、次々と選挙事務所を立ち上げて臨戦態勢に入りました。
10月30日夕方、官邸で行われた麻生総理大臣の記者会見。解散総選挙を切り出すのか、解散の時期を表明するのか、全国が注目しました。
麻生太郎総理「政局よりは政策、何より景気対策という世論の声の方が圧倒的に高いと思っております」
麻生総理のこの発言は、11月4日のアメリカ大統領選挙、そして来年1月20日までの政権移行期間に日本で総選挙を行えば世界経済が混乱し、政治空白が生じる。解散総選挙は景気対策で政権浮揚を果たした後だとするメッセージだと、多くの人が受け止めました。
その一方で麻生総理は、
麻生総理「少なくとも選挙になったからといって突如と行政がなくなる訳ではありません。そういった意味で直ちに政治空白が起こると考えている訳ではありません」
補正予算を編成し、アメリカ大統領選挙に関係なく解散総選挙に打って出る手もありますよ、と年内解散をにおわす発言も。
解散総選挙は年内にやるのかやらないのか、年明けなのか、あいまいな発言をどう解釈したらいいのか、県内の各予定候補者の事務所は戸惑いを隠せません。
新田宗信事務局長「予測しても一時が万事で、日頃から選挙モードというんですか、態勢づくりはしなければいけない」
4区、瑞慶覧長敏さんの事務局の責任者である新田さん。4区の選挙エリアは宮古、八重山の離島まで含まれるため、悩みは尽きません。
新田事務局長「離島の方々には、支持者の方々にお願いするという形で進めさせていただいている。離島に行く経費もばかにならないもんですから、簡単にいけないですね」
政権与党、自民党議員の事務所でさえ、いつ選挙になるかは分からず、困惑しています。
柏田吉美事務総長「まさか延び延びになってくるとは予想もしなかった。執行部もそういう点が分からない状況に現在、陥っている訳です」
2区の安次富修さんの事務所を預かる柏田さんは、遠のく解散風とともに、重くのしかかる事務所の維持費に頭を痛めています。
柏田事務総長「経費の問題が一番左右されます。我々としてはできるだけ経費を少なくして、ボランティアで出来るだけ動いてもらう。いつあってもいいように態勢をつくり上げていきたい」
遠のく解散総選挙。中でも4月の解散総選挙ムードを想定し、今年1月末に事務所を置いた3区の新川秀清さんの事務所は困惑を隠せません。
仲宗根寛勇事務局長「これだけ期間が延びますと、どの選対もそうだと思いますが、選挙にかかる費用が莫大になる。そいいう意味で大変苦労しているところですが」
このため新川さんの事務所では9月に資金集めの政治資金パーティーを開くなど、あの手この手で財政の対応を計画しています。ほかの事務所でも今後、政治資金集めの集会が増えそうです。
新田事務局長「事務所経費が通常の後援会活動と違うものですから、そこらへんはかなり厳しい状態ですね。ですから我々としては11月7日に政治資金パーティーを行う」
対照的なのが1区。外間久子さんの事務所は那覇市長選挙、市議補欠選挙とセットで活動を展開できるのが強みです。
前宮徳男事務局長「16日の市長選挙、市議補欠選挙がありますから、久子さんもその押し上げのために今頑張ることが、いついかなる解散にもプラスになるんじゃないかと」
しかし、そうはいっても事務所の維持経費には気を使っているといいます。
前宮事務局長「確かに延びれば延びるほど、その分出費はあるわけです。しかしそれは戦いですから、有権者の皆さんに依拠しながら、募金も募りながら選挙に必要な財政的裏付けは作っていきたい」
かさむ経費と臨戦態勢の維持の狭間で、各事務所とも悲鳴を上げています。この状態はいつまで続くのか、事務所の責任者の悩みは尽きそうもありません。
選挙事務所の経費は家賃や人件費、印刷物や電話、パソコン、宣伝カーといった広範囲にわたります。通常ですと選挙の2か月前に事務所開きを行いますが、今回は解散総選挙の時期が見えないだけに費用は膨大なものになりそうです。
だからといって開いた事務所をいったん閉めるわけにもいかず、事務所を預かる責任者はやきもきしながらの事務所運営を余儀なくされている状況です。次期衆院選は、選挙の戦いばかりでなく、経費面での戦いともなっています。