きょうは目に障害のある選手たちが競う視覚障害者ボウリングで、見事世界一に輝いた選手を紹介します。そもそも、視覚障害者ボウリングとはどんな競技なのか、また、この選手の強さの秘訣は何なのか、迫りました。
ピンの弾ける音が響く、那覇市内のボウリング場。華麗なフォームからストライクを連発しているのは比嘉一盛さん。
比嘉一盛さん「小さい時、盲学校で授業でボウリング教室があって、そこに参加して体験したのが初めてだった」
比嘉さんは5歳の時にセメントの粉が目に入ったことで視力を失い、現在、右目は0.03、左目は光が感じられる程度。それでも、ボウリングは40年のベテランです。
その長年の努力が報われ、去年8月、視覚障害者ボウリングの世界大会で平均200を超える好スコアを出し、優勝。世界一のボウラ―となりました!
比嘉さん「これをかけた時に、日本の日の丸と国歌が流れるんですけど、涙が出ました」
比嘉さんの影響も受け、今では2人の子どもも一緒にボウリングをしています。
息子・大一さん「小さい頃からいっしょにやっている。お父さんを見たり、お姉ちゃんを見たりして勉強して」
娘・愛香さん「かっこいいかなと思います」
ところで、視覚障害者ボウリングはどのような競技なのでしょうか?
まず、競技でB1クラスに分類される視力0(全盲)の場合は、ガイドレールという手すりをつたいながら投球します。
一方、比嘉さんがいるB2クラス(視力0.03以下)では、自ら位置に付き投球します。しかし、残ったピンの場所や数は判別できないため、大会ではスタッフが付き、残るピンを口頭で伝えます。
比嘉さん「『何番と何番立ってるよ』と言われたら頭の中でわかるので」
ピンの配置やレーンからの距離、踏み込む足の位置、それらが比嘉さんのイメージの中には鮮やかに描かれています。
比嘉さん「(Q:比嘉さんの考える、ボウリングの魅力はなんでしょうか?)それはストライクの音しかないです。ボールがピンに当たって、全部はじけた時の音、これは今のはストライクでしょうというのは、わかります」
そんな比嘉さんの強さの理由は、まず圧倒的な練習量にあります。
比嘉さん「大会とかが近ければ、週に3~4回通って。最高15ゲームくらいは1日で投げて帰ったりもします。体と左手が、この残りピンだったら、ここから投げるとか、考えなくてもだいたい投げられます」
その強さのひみつは仕事場にもありました。比嘉さんは現在、那覇市内の診療所のデイケアで勤務しています。
その主な仕事の1つがマッサージ。実は比嘉さん、鍼灸師やあん摩マッサージ師の有資格者。手元が良く見えない中でも手に触れる感覚に集中し、マッサージを施していきます。この仕事が手先の感覚強化につながっているといいます。
比嘉さん「指を動かすのとか、手首のマッサージのやり方は、ボウリングとつながりはあると思います」
そして何より、ボウリングに対する熱意が比嘉さんを強くしています
比嘉さん「ボウリングに関しては、何て言うんすか、頑固っていうんですかね。言い方悪いですけど、しつこいくらい、ボウリングに関しては人には負けないという闘争心があります」
その比嘉さんが次に目指すものは。
比嘉さん「世界大会で2連覇するように練習するだけです。絶対やるという気持ちで練習から頑張っていきます」
8月に福岡で開催される世界大会。再び頂点へ。ストライクの音を響き渡らせるべく、練習に励みます。