新年度が始まりましたが、去年雇い止めや解雇で仕事を失った求職者にとっては、今だ、厳しい雇用情勢が続いています。雇用情勢の今を取材しました。
新年度が始まる中、雇用情勢の悪化に歯止めがかかりません。去年失業し、求職活動を続ける求職者は、依然、厳しい状況に置かれています。しかし、こうした中、新年度に入り、求職者の中にも新たな動きが出てきました。
玉城学さん「きょうの昼、帰ってきた時郵便受けに入ってましたね。」
県内に住む、玉城学さんにはこの日、定額給付金の通知書が届きました。玉城学さん「現状考えると、やっぱ、食料品とか、必要なものでなくなっちゃいますよね、本当に。」
30代前半の玉城さんは、雇い止めとなった去年の12月末まで10年以上にわたり、派遣従業員として本土の自動車工場などで働いてきました。沖縄に帰り、失業者に対する住宅支援措置で県営住宅に入居。連日のようにハローワークに通っていますが、状況は厳しさを増しているといいます。玉城学さん「まあ確かに以前のときよりは少ないというのは、感じてますね。」
一方で、玉城さんは失業してから、自分が変わったと話します。1週間分録画予約しているニュース番組。時間さえあれば、ニュースで世の中のことを知ろうと思うようになったことも大きな変化です。仕事についての考え方も変わりました。
玉城学さん「今まで、全く、生活できればいい、ていう、ていうことで、結構派遣に身を閉じてたっていう、結構、自分からしても反省すべき点はあるんで」「いろんな、結構、派遣社員がらみの事件が多かった年でもあったじゃないです。やっぱ、そこで、一番考えるきっかけにはなってますもんね」今は、県内で、時間をかけてでも自分にあった仕事を探したいと話します。就職活動のセミナーにも参加するようになりました。
玉城学さん「多少収入は少なくとも、やっぱり安定した収入、そこそこのね、得られれば一番、無難ですよね」「あとは人並みに生活が送れるようになれる。もうそのことにつきると思います」
先月発表された県内の失業率は7.8%。有効求人倍率は0.31倍と厳しさを増す一方の雇用情勢。しかし、そんななか、今県内の求職者には新たな動きが見えています。
今月9日に開かれた、県立浦添職業能力開発校の入学式。現在県内にある、こうした公共の職業訓練校は4か所。それぞれ県と、雇用能力開発機構が運営しています。北谷町にあるポリテクセンター沖縄。求職者を対象に半年、もしくは3か月といった短期間で実践的な技術を習得させ、再就職を支援しています。ポリテクセンター沖縄は、今年度、定員を800人と急増させました。
清水訓練課長「こういう雇用情勢ですのえ、そういった新しいですね、手に職をつけて、再就職を目指す方っていうのは増えているかと思うんですね」
モノづくりから、ホワイトカラーまで全17コース。入所者の就職率は、不況に突入した昨年度も85%と、常に高い数字を保っています。
伊波さん「いろいろ面接だとか、ここに入る前にも結構回らしていただいたんですけど、やっぱりどこも厳しいみたいで、技術のない人をとってる余裕はないということで、先にじゃあ、技術を習得してから仕事の方を探そうかなと思って」
こちらは、ビジネスワーク科。3か月で、経理や財務、簿記などの知識と技能を身に付けます。受講者は、ほとんどが女性です。一般に職業訓練といってもコースによって雰囲気はずいぶん変わります。一方こちらは、セールスビジネス科。営業のスキルやビジネスの現場で使える様々な技能の習得を目指します。職業訓練は、全てのコースで授業料や実習教材費は無料。去年からの不況を機に、訓練校の存在を知った入所者も多いといいます。
訓練生「トヨタの関連工場にいたんですけど、不況で、続けるのがむずかしくなって、で、沖縄帰ってきて仕事を探したんですけど」「なかなか資格がないと難しいので」訓練生「滋賀県で、液晶ガラスの製造ですね。をしてました。派遣です」訓練生「よりよい条件で、再就職できるようにここで頑張りたいなと思っています。」
清水訓練課長「1からですね、基礎からですねしっかり身につけて、技術を身につけて再就職したいという方ばかりですから、そういう意味では、訓練に対する意欲と言うかそういったものは非常にかんじられますね。」
こちらは、電器システム技術科。最も人気が高いコースです。6ヶ月間で、コンピューターのハード、ソフト、いずれにも対応可能な人材の育成を目指します。
こちらの男性は、去年本土で雇い止めにあい、1月に入所しました。「期間従業員で、愛知県の方に行ってて」「何か資格、手に職持ってる方が、芸は身を助けるじゃないですけど、そういった感じのニュアンスはずーと持ってたんで。」
今は、システムエンジニアを目指しています。多くの県出身出稼ぎ労働者を襲った今回の金融不況。有効な雇用創出策の早急な実現が求められる中、求職者も確実に、新たな一歩を歩み出しています。政府は総選挙をにらんだ様々な目先の景気対策を強調していますが、本当にいま、必要なのはこれからの若者たちに対する息の長い雇用創出策ですよね。早急な対策が求められます。