今回は先月、行われた障害者の自立とは何かを考える学習会を通して参加者が何を学び、何を感じたのか、そして障害者が自立するために社会がどう向き合えばよいのかを考えます。
先月、北中城村で行われた「自立生活塾」。これは、障害がある人たちの自立生活を支援しようと宜野湾市の障害者支援団体「イルカ」が企画したもので、合宿形式の開催は初の試みです。
知的障害や発達障害など、様々な障害を持つ10代から30代までの男女21人が参加しました。
自立生活センター イルカ代表・長位鈴子さん「障害を持つとどうしてもレールがひかれる。あそこしか行くとこがないとか、もう福祉のレッドカーペットがひかれるわけです。(その中で)どう自分たちが生きられるのか、生き抜く力を身につけるか(ということだと思う)」
合宿1日目。参加者は、それぞれが目指す自立について語りました。
参加者「私の自立のイメージは、自分のことは自分で決められる、選べることだと思います」
参加者「いつこの障害がひどくなるかもわからない。今は親と一緒に過ごしていますけど、いずれは一人暮らしを考えています」
「自立」とは何なのか、様々な思いが聞かれる中、輪の中に1人の男性がいました。比嘉祐弥さん、21歳。
生まれつき脳性麻痺の影響で、思うように手足が動きません。
比嘉祐弥さん「自立するために一番必要なことってヒデアキさんが思うのはなんですか?」
自立生活センター イルカ事務局長・宮城秀明さん「できることとできないことじゃなくて、やりたいことをみつけていくことかな」
比嘉さん「やりたいことか!」
宮城さん「だってさ、やりたいことってやりたいさ。やりたかったら色んなこと考えるさ」
比嘉さんは、今、バリアフリーマップを更新する仕事に携わっています。何故、比嘉さんは今回の合宿に参加したのでしょうか。
比嘉さん「いずれ僕の両親もいなくなるので。自立するためにはどうしたほうがいいのか、僕に今足りないことはなんなのかというのを友達、仲間と話し合いをしたくて」
仕事にも就いている比嘉さんですが、実は今まで1人で買い物に出たことがありません。比嘉さんの中には、障害者という壁があったと話します。
比嘉さん「車いすに乗っているから、ちょっとっていうのはありました。どういう風に外に出たらいいんだろう、行きたい場所までどうやって行ったらいいんだろう」
自立合宿2日目。それぞれが、昨日計画した自分のしたいことを実践する日です。比嘉さんはボランティアのメンバーと一緒に、初めての買い物に出発します。
今回の合宿では、障害者と健常者が共に生きる社会の実現も大きなテーマ。障害のあるなしに関わらず、互いが協力して目標達成を目指します。
比嘉さん「やりにくいなできないなと思ったら周りの人に相談して、まわりの人にヘルプを頼んで一緒にやっていけたらいいのかなっていう考えに変わりました」
比嘉さん「障害者だけの枠を作ってしまうのではなくて、とっぱらってしまうことによって、それこそ共存して生きていく。それも自立に向けての第一歩なのかなと思いました」
買い物を終え、あとはみんなでカレー作りです。
長位さん「社会全体にしたら障害があると不憫で可哀想よねって(言う)。(障害者が)特別な待遇とか対応とか社会を目指しているわけでなくて、障害のない社会の中で一緒に生きていきたい、だから仲間に入れてちょうだいと」
同じ悩みや夢を持つ仲間と参加した2泊3日の合宿。障害者と健常者が互いに歩み寄り、理解しあい、そして積極的に関わることの先に、自分の自立する姿を見つけたようでした。
「とてもいい時間でした。本当にありがとうございました。絶対に忘れませんから」
比嘉さん「正直自立するまでにどれくらい何年、何十年かかるかわからないですけど、家族がいてみんな和気あいあいとしているような、そういう風景が僕の中にあるので。当たり前のように彼女がいて結婚してっていうのが僕の中では夢」