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シリーズ「つながる」。きょうは南城市内で唯一残された公立保育園の取材を通し、民営化の問題について考えます。

つながる × 公立保育園の役割を考える

きょう、南城市役所福祉部。手渡されたのは、県内で集まった9000人余りの署名。「南城市内で唯一となった公立保育園の存続」を求めています。

南城市社会福祉法人立保育園園長会・竹千晶会長「県内の公的責任の在り方が問われています」

要請を行ったのは、すでに民営化された市内の保育園の園長たちです。

つながる × 公立保育園の役割を考える

問題の発端は、およそ10年前。町村合併により南城市が誕生した際、公立保育園6つが民営化されました。唯一残された公立の「みどり保育園」を、今回市が民営化する方針を固めたのです。

民営化された保育園のひとつ、あおぞら保育園。園長の竹千晶さん。南城市園長会の会長です。

去年12月、みどり保育園の民営化の方針を知った竹さんは園長会の仲間と共に、公立保育園を残してほしいと署名活動や市議会への呼びかけを続けてきました。

つながる × 公立保育園の役割を考える

竹千晶会長「南城市園長会は民営化に対して反対しているわけではないん。公立がもつセーフティネットの役割はすごく重要」

どんな子どもでも、いつでも安心して利用できる公立保育園がなくなってしまえば、そこからこぼれてしまう子どもたちが出てくるのではないかと竹さんは心配しています。

一方の行政側。民営化の背景には「コスト削減」があると明かします。

つながる × 公立保育園の役割を考える

南城市福祉部・津波古充仁部長「公立のままだと(国から)改築の補助金がもらえません。財政的には1億8000万円程度の経費削減ができる」

保育料については値上がりはなく、従来通り、各世帯の収入に応じて決まると言います。では、民営化によって何が大きく変わるのでしょうか。

津波古充仁部長「保育士の採用についてはそれぞれの園での採用になります」

“保育士の確保は、各保育園の責任で行う”。全国的な社会問題となっている保育士不足が、このままでは単なる「民間の問題」に矮小化されてしまうのではないかと竹さんは不安を抱いています。

竹千晶会長「公立が現場を持っていないと。自己責任の社会に繋がっていきかねない。私たちが頑張っていないわけじゃないのに、もっと頑張れって」

先月、初めて、市長と市民との意見交換会が開催されました。

市民「行政が保育という部分で、現場もなくなる。子どもにとって本当にどうなんだろう」

古謝市長「いわゆる選挙公約として民営化できるものは民営化しますよと」

つながる × 公立保育園の役割を考える

公約とはいえ、公立保育園が全部なくなるとは思ってなかったと訴える市民たち。

その理由は、市が9年前につくった民営化の基本方針にありました。

そこには、公立保育園は今後も残した上で、子育て支援の拠点施設になるとし、民営化の目的はコスト削減のみではなく、公立保育園と私立保育園、それぞれの役割が発揮されることだと書かれていたのです。

つながる × 公立保育園の役割を考える

これに対し、古謝市長は・・・。

古謝市長「今10年間を振り返ってみても何らそういうかたちのものがやられていない。はっきり申し上げます、出来ないということでした」

基本方針で掲げた公立保育園の役目が果たせていないので、民営化をするといいます。

公立保育園は残るものだと信じてきた竹さん。子ども達の将来にかかわる大事な問題であるだけに、困惑は深まるばかりです。

竹千晶会長「今はコスト面で考えられているようなニュアンスが強いので、子どもを主人公にして考えてもらいたい」