※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

沖縄防衛局は1日午後名護市辺野古の基地建設予定地で行った環境調査の結果をまとめた準備書を県に提出しました。準備書の内容は、仲井真知事が求めている沖合移動については否定的な見解です。

1日午後県を訪れた沖縄防衛局調達部の吉田次長は2008年3月から基地建設予定地で1年間実施した環境調査の結果を5400ページにまとめた準備書を提出しました。防衛局はこの準備書の中で大浦湾の西側と海上に建設を予定していた作業ヤードはサンゴや生態系への影響を考慮して位置を変更すると説明しています。

一方で、仲井真知事が求めている滑走路の沖合移動は「陸からの資材の運搬が難しく、波による影響が大きい」として否定的な見解を示しています。これに対し仲井真知事は「基本的には沖合いへ、可能な限り沖合い等へ寄せてもらいたいと。そして環境への配慮をきちっとやってもらいたいという観点というか考えは、まったく変わっていません」と話しています。

記者解説です。環境調査の手続きはとても複雑ですが、きょう準備書を県に提出したのはどの段階ですか?

「これは、調査全体のスケジュールを10とするとちょうど4から5の中間の段階に入ったといえます。」

「こちらが全体のスケジュールです。沖縄防衛局は去年の3月から環境調査をどうやるかをまとめた方法書に沿って一年間、サンゴや潮の流れの調査を行ってきました。きょうはその結果を準備書としてまとめて県に提出したということになります。そして今後は、この準備書に対して住民の意見を募る最後の公告縦覧を行い、知事の意見をまた聞いた後、最終段階となる、環境調査の評価を行い、知事に辺野古の海の埋め立てを正式に申請するという順序になります。これが来年のあたま頃になる見通しです。」

でも、公告縦覧して市民からどんな意見が来ても知事が何を言っても、辺野古への基地建設をしないという選択肢はない?

「そこが大きな問題なんです。海外でも大型の公共工事ではこうした環境調査があり、その結果作らない方がいいと判断した場合には、計画を白紙に戻すゼロ・オプションというのが認められています。しかし、日本の環境調査にはそういう選択肢はありません。そのため、今回も基地建設を前提にした、基地建設のための調査という指摘もあります。」

仲井真知事は、滑走路を沖合に出してほしいと。最近ではそれしか県や名護市が要求していないような印象さえありますが、50メートルでも沖合へというのは決して地元辺野古の意見ではないということは以前にも伝えました。

「そうですね少しでも沖にずらせば納得するというのは知事の考えで、名護市民は96年の住民投票で「辺野古に基地はいらない」という意思表示をしています。でも、沖合ならいいというのは大半の県民の声ではありません。」

滑走路を沖にずらず、ずらさないという話ばかりに知事がこだわるのは、問題の本質から大きくずれています。

今回の準備書は、決してどこにずらすかを決めるものではないし、環境調査がきちんと行われ、少しでも影響を無くす方法を探るきちんとした資料になっているかどうかをしっかり見ていく必要があると思います。