Q+リポートです。去年の子どもの日に沖縄市で県内初の「子ども食堂」がオープンしました。
あれから1年、現在ではご覧のように各自治体で様々な形で始まった「子ども食堂」ですが、なぜ今必要とされるのか、そして、1年で見えてきた課題についてお伝えします。
白坂敦子さん「(Q今日は何合ですか?)今日は16合。だいたい18合炊くんだけど」
沖縄市諸見里にある「ももやま子ども食堂」。去年の子どもの日に誕生して1年が経ちました。
子ども食堂とは4年前に東京都豊島区などで始まったもので、夜一人で食事を摂る子どもや満足な食事ができない子どものために、地域の人が協力して無料もしくは格安で食事を提供する場所。県内では、ここ「ももやま子ども食堂」が始まりでした。
「子どもの貧困」が社会問題となりクローズアップされたことをきっかけに県内でも各地に広がりを見せた子ども食堂。地域での理解が深まったという見方がある一方で、課題も生まれています。
白坂さん「大人も子どももご飯が食べられなくて貧乏な子がいるという誤解。捉え方が違うのかなと。そこら辺をもうちょっと伝えることができたらなと」
鈴木友一郎理事長「ももやま食堂は子どもの貧困という意味で開けているわけではないんです。孤食をなくそう、お金があるないの問題ではなくて」「社会的に子どもの貧困て何なのかということが共有化されているかということは非常に課題がある」
取材したこの日、子ども達の中には「テレビ映さないで」と言いにくる子もいました。「子どもの貧困」という言葉がひとり歩きしている現実は、子ども達にとって別の苦しみを生んでいるのかもしれません。
『こんにちはー』
午後5時、お腹を空かせた子ども達が続々とやってきます。
現在、地域の小学生を中心に10人から20人ほどの子ども達が毎週土曜日に通ってくる「ももやま食堂」。食堂という名前がついていますが、子どもたちにとっては第2の家庭のような居場所になっています。
ボランティアで来ている親子「食堂っていわれるとご飯を食べるのが目的かなと思っていたが、ボランティアで参加してみて、子どもが遊んだり大人と遊んだり、地域の人と触れ合ったり。地域の中に自分の居場所が出来ていいのかなと思いました」
初めて子連れで来たお母さん「(子ども食堂を)耳にしたことはあったがどういう活動なのかわからなくて」「今、つながりが持てる機会が少ないのでいい機会かなと」
子ども達「(Qお母さんきょうお仕事?)うん。(Qここでご飯食べるのは?)友達もいるから楽しい」「初めて来て楽しかった。(Q何が一番楽しかった?)遊ぶの」
子ども食堂の持つ意味、鈴木さんたちは今「食」だけではない子ども達とのつながりを大切にしています。
祝日のこの日。食堂では「ものづくり体験教室」が開かれていました。この1年、多くの大人たちが食材の差し入れを始め、ボランティアにと積極的に参加してくれるようになったといいます。
鈴木さん「食事というのは一つのツールだと思うので。関わる子どもも継続した蓄積みたいな中から信頼感とか安心感だとかが生まれるのかなと考えると、どういう居場所を作っていくのか今後大きなポイントの一つかなと感じます」
地域の子どもと地域の大人が交わり、何でも話せる信頼関係を作る。「子ども食堂」は、食事を提供するだけの場所ではなく子ども達の安らぎの場所として、今、求められています。
鈴木さんの話にありましたように、今これだけ「子どもの貧困」という言葉が広まっている中で、言葉の本質、子ども食堂の持つ意味が逆に知られていないのかなという気がしますよ。「ももやま子ども食堂」では今後もこの場所が子どもの居場所として継続するためには専門的知識を持ったスタッフも必要だと話していて、そのためには行政の支援も必要とされています。