こちらの数字をご覧ください。那覇市の中学生のいる生活保護世帯の中学生の数は、2014年度334人います。このうち不登校となっているのはおよそ15パーセント、49人です。
この中学生に向き合い、進学や就職に繋げるのが、那覇市が7年前から設置した「児童自立支援員」です。子どもの貧困問題が社会問題となる中、その活動に注目が集まっています。
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那覇市の児童自立支援員の1人。金城隼(きんじょう・じゅん)さん26歳。現在は中学生のいる生活保護世帯を30件ほど受け持ち、学校を休みがちな子どものいる家庭を週に1回程度訪問します。
金城さん「会ってもらえるか実際に行ってみないとわからないですし、体調もありますので、会えればラッキーかなという感じですね。」
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訪問先にて:
(訪問先にて)金城さん「3月はどんなでした?」
母親「3年から不登校が見え始めてきて。今週は週明けの月、火行けなかったんですよ。制服には着替えはしたんですけど…。」
児童自立支援員の仕事は、しっかり家庭の状況を把握し、悩んでいる子ども自身に寄り添うことです。
金城さん「制服初めてみたから感動したんだけど。」
A君「うん。」
金城さん「塾行きたくないとか、まだ大丈夫?」
A君「大丈夫。」
金城さん「オッケー、よかった。先生も待っているから一緒にいこうね。」
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那覇市では2010年度から児童自立支援員を設置。今年度からは大幅に予算を確保し、児童自立支援員を4人増員。困窮世帯の子どもたちのサポートに力を入れています。
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この日金城さんが向かったのは、那覇市が委託している学習支援教室、いわゆる無料塾です。金城さんは週に1度、担当する子ども達の出席状況や、塾での様子について先生と情報交換を行っています。
新垣さん:週2安定してこれるようになっているので、1学期が頑張っている数学と英語に絞ってもいいんじゃないかという話をして、それだけなら頑張ってみれるかもって
金城さん「本当ですか?本人からの頑張れるって言葉、初めてかも。」
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卒業生B君「いいクラス、いい先生にあたって最高です。」
この日、教室にはこの春県立高校へ進学した、1人の生徒がやってきました。金城さんが、支援を続けた1人です。
卒業生B君「(中学生の時は)働いてもいいかな、みたいに思っていました。家が苦しかったので、高校行って家の方を苦しめるとか、高校ってお金がかかるから。」
家庭を楽にしたい。そんな彼の気持ちを受け止めつつ、金城さんは、高校への進学を勧めます。
金城さん「中卒になると低賃金はもちろん、家庭を支えきれずに生活保護とかそういったことに繋がっていくと思いますので、それをいかに食い止めるのか。」
困窮世帯の子ども達にとって高校進学はひとつのハードル。しかし、貧困の連鎖を断ち切るためには、進学は重要な要素です。
卒業生B君「最終的には自分がやってきたバレーでまた新しい子たちにバレーの楽しさを少しでも教えられたらと思います。」
金城さん「自立してもらうためにやっている仕事なので、大きな役割として高校進学。もしかしたら厳しいかなと思っていた子が、しっかり高校入学できたときは一緒に泣いて喜んだ。どんな場面でも対応していけて、どんなところからでも頼ってもらえるような人になりたい。」