※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

こちらは沖縄市サッカー場の土壌調査報告書です。全部で2000ページにも上りました。非常に専門的で難解な内容なんですが、ここからはアメリカ軍基地を抱える沖縄の実態が見えてきます。

主人公は沖縄市のサッカー場から出てきたドラム缶。

Q+リポート 枯れ葉剤を浴びた島01

そこにベトナム戦争で使われた枯れ葉剤の製造会社名が書かれていたことから事件が始まった。枯れ葉剤。1960年代に泥沼化したベトナム戦争でアメリカ軍が撒いた化学兵器。

それが当時アメリカ軍の前線基地だった沖縄に持ち込まれ、沖縄の土地に埋められたのではないかと、不安が広がったのだ。沖縄市と防衛局は「枯れ葉剤」かどうかを調べる初めての本格的な調査を開始した。

Q+リポート 枯れ葉剤を浴びた島02

その結果に専門家が注目した点がある。ダイオキシンの中でも最強の毒と言われる2,3,7,8TeCDDという物質。専門家たちは口々にこの割合の高さに驚きを語った。

宮田秀明さん「今回の場合は、枯れ葉剤に起因したような特有のダイオキシンが高濃度で出てくるということで、こちらとしては、こんな汚染はまず無いので、非常にびっくりした。」

本田克久教授「ベトナムの枯れ葉剤汚染でしか見たことが無い。」

去年終戦40年のベトナムを取材した。訪ねたのは、元国家副主席のグエン・ティ・ビンさん。ベトナム戦争を終わらせたパリ和平会議に北側の代表とともに参加し、「アオザイの闘士」と呼ばれていた。いまはベトナム枯れ葉剤被害者協会名誉会長を務めている。

Q+リポート 枯れ葉剤を浴びた島03

グエン・ティ・ビンさん「戦争があまりにも長く、被害が酷かった。中でも一番悩ましいのは、枯れ葉剤の影響です。枯れ葉剤被害者やその家族の現状に心を痛めている所です。戦争の傷跡を重く感じています。 」

ベトナム戦争でアメリカ軍が撒いた枯れ葉剤は8000万リットルにも上ると見られている。しかも枯れ葉剤で汚染された土地や水が今も人々を苦しめ続けている。

Q+リポート 枯れ葉剤を浴びた島04

グエン・ティ・ヒエン会長「戦争中に被害を受けたならまだしも、環境汚染が原因で、戦後も被害が出続けていることを非常に悲しく残念に思います。 」

枯れ葉剤が撒かれたベトナム。そしてその戦争の前線基地となった沖縄。アメリカの戦争に関わった2つの地域は「環境汚染」に直面していた。沖縄市のサッカー場でこれまでに見つかったドラム缶は108本。調査報告書は2000ページにものぼっている。

地中から出てきたドラム缶は私たちに何を語りかけているのか、その声に耳を傾けた。

QABではドキュメンタリー扉「枯れ葉剤を浴びた島〜ドラム缶が語る終わらない戦争〜」を25日午後4時50分から放送します。アメリカやベトナム取材を通し、広大な基地を抱える沖縄が今何を突きつけられているかを考えました。

16-04-21-q05