こちら、石垣島の星空です。実はいま、この星空を、国際的な「保護区」に申請しようという取り組みが進んでいるんです。石垣の夜を取材してきました。
上野貴弘さん。もともとは東京で広告関連の会社を経営していましたが、石垣の夜空に惚れ込み、2年前、石垣島に移住して「星空ツーリズム」という会社を立ち上げました。上野さんが島内のとある場所で開催している星空浴ツアーです。
「あっ、めっちゃ流れたー、めっちゃ流れたー(歓声)」
明かりも少なく、360度見渡せる絶好のロケーションで、ツアー客はデッキチェアーに寝そべりながら、60分間、天然のプラネタリウムを堪能します。
流れ星は写せませんでしたが、皆さんがみている石垣の星空がこちら。
観光客「すごくきれいで感動しました。生まれて初めて流れ星も見れてすごく感動して」「木星初めて見たんですけど、すごくきれいでまた来てみたいなと思いました」
上野さんはこの石垣島の夜空を「星空保護区」に認定してもらおうという活動を始めました。「星空保護区」とは、国際ダークスカイ協会が非常に優れた夜空を認定し保護を推進するプログラムで、現在、世界に57か所しかありません。
国際ダークスカイ協会東京支部・越智信彰代表「石垣市の中心部は少し明るいんですが、中止から外れたところはほぼ自然のままの暗さが保たれていると。日本の中で考えるとこの石垣の地域が一番可能性が高いと思います」
「星空保護区」の認定を受けるためには、無駄な照明が引き起こす「光害」を減らし、暗い夜空を守れるかどうかが重要な要素となります。
国内初の認定に向けて、上野さんは石垣市内の夜空の暗さの調査を本格的に開始しました。
草柳「夜もすっかり更けてきました。これから早速調査に向かいます。今日は石垣雲が多いので少し心配です。そしてこの先は夜空ですから照明は禁物。では、行ってきます」
夜空の暗さは、このスカイクオリティメーターで測定します。数値が高いほど、空が暗いことを示しています。
上野さん「世界の星空がきれいだと言われている地域で一番最も高い数値が21.75以上だと。いわゆるゴールドステイタスという一番ランクの高い星空保護区に認定されます」
先ほどの星空浴の場所は、平均して20点台後半。ほぼ世界最高レベル。そして、街に近い公園ではやや下がって19点台。それでもかなりのレベルの暗さであることがわかりました。
ただ、課題も残されています。
上野さん「星空保護区になるためには保護する条例も必要になってきますので、そういったものに理解とか賛同が集まらないとなかなかまだ難しいと思う。そこのあたりがこれから必要になってきます」
国内初認定となれば、観光資源としても大いに期待が高まります。地元・石垣市は昨年度、認定に向けた調査に予算を付けました。
石垣市観光文化スポーツ局長・大嵩久美子「八重山の星空に対する世界基準の評価を獲得するということは、本市の観光の魅力や観光価値の向上を図る方策として大変いいのではないかと。そういう中で機運を盛り上げ、自然環境の保全などにも努めながら星空を保護していく」
上野さん「無駄な光というのがちょっと溢れすぎている。それは光害というものを全く意識せずにどんどん明かりを増やしてしまった結果だと思う。人と星空が共存できる街づくりというのが、たぶん、新しい街の在り方、今後なっていくと思う」
国内初の「星空保護区」認定は実現できるか。きょうも夜空の調査が続いています。
星空保護区に認定されるためには、条例や光害対策をした照明設置のほか、地域住民の啓蒙活動なども評価対象になるそうですが、この点、石垣市は「南の島の星まつり」「いしがき島星空宣言」を出すなど、プラス評価となりそうです。上野さんは順調にいけば、今年中に保護区の申請を行うということです。