2012年の時は発射からわずか10分で沖縄上空を通過しました。北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイルの発射通告を受け、地対空迎撃ミサイル・PAC3を乗せた輸送艦が沖縄に向かっています。
4日午前9時過ぎ、広島県の海上自衛隊呉基地から、PAC3を載せた輸送艦「おおすみ」が沖縄の先島諸島に向け出航しました。北朝鮮の通告によれば、ミサイルは沖縄付近の上空を通過する可能性があり、PAC3は発射予告期間が始まる8日までに先島諸島に配備される予定です。
こうした事態を受け、石垣市では午後4時に対策本部が設置され、県庁でも急遽、政府による県と市町村への説明会が開かれました。
ミサイルが発射された場合、Jアラートなどを通じて、県民に確実に注意喚起ができるよう防災無線といった設備の点検などが要請されました。県内では5日、Jアラートの模擬訓練が行われる予定で、午前11時に各市町村の防災無線からテスト放送が流れることになっています。
県内での緊張が高まる中、一方で軍事に詳しい専門家からは、沖縄へのPAC3の配備には別の側面があると指摘する声もあがっています。軍事ジャーナリストの前田哲男さんは「南西重視、沖縄周辺基地を強化する中で、(国民への)パフォーマンス、訓練として位置付けていることになると思う。今回は北朝鮮の脅威だが、しかしそれを大きな中国の脅威という枠内に取り込みながら、石垣・宮古・与那国といった先島諸島への防衛力の強化の必要性を島の人たちに強く印象付けるということも目的の一つになると思う」と話し、PAC3そのものの効果についても「(北朝鮮の)予告通りに打ち上げると、200キロ上空ぐらいを先島付近を通っていく。それも数秒のうちに通過するので、PAC3は射程が20キロ前後、2万メートル前後なので、これはどうしようもない」と話しました。
PAC3は、2012年にも北朝鮮のミサイルが発射され、沖縄上空を通過した際も県内で展開し、その後、那覇市と南城市に常時配備されています。