辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり国が代執行を求めて翁長知事を訴えた裁判の第3回口頭弁論が29日午後開かれ、和解勧告という予想外の展開となりました。
29日の法廷では、県側が申請していた尋問について、翁長知事と稲嶺名護市長の尋問を行うことが認められました。しかし、多見谷寿郎裁判長は、他に県側が求めていた、環境の専門家や元宜野湾市長など7人の証人尋問については、申請を却下しました。
県側の弁護士は、どの証人も埋め立て承認の過程などに実際に関わるなど、重要な証人だと意見しましたが、「裁判の結論を導くうえで必要がない」として却下されました。
ところが、閉廷間際、多見谷寿郎裁判長が「和解を勧告します」と述べて傍聴席は騒然としました。県側の弁護団は、裁判所から示されたのが「根本的な解決案」と「暫定的な解決案」の2つだったことは明らかにしましたが、詳しい内容は明らかにしませんでした。
県側の竹下弁護士は「行政事件訴訟の中でこういう和解の勧告があるというのはかなり稀なことではないかという風には思っています」と言います。翁長知事は「いろんな方から意見も聞きながら、私なりにその(和解の)意味合いを考えたいと思いますが、即座にそれをいいとか悪いとかいう話は今の私からはしにくいということですね」と話します。
認められた尋問のうち、翁長知事は2月15日、稲嶺名護市長は2月29日に行われる予定で、多見谷裁判長は、その2月29日に裁判を終結させる方針を示しました。
裁判を傍聴した久田記者です。証人尋問を決めたのに、和解勧告というのはどうしてなんでしょうか。
久田記者「はい、翁長知事と稲嶺名護市長の尋問は認められるだろうと予想されていましたが、和解勧告はまったくの想定外でした。なぜなら、代執行裁判自体が、代執行以外のあらゆる手段を尽くしても、解決しない場合に起こされるものだからです。」
和解の余地があると思っていれば、国側は初めから代執行裁判を起こすことはありませんよね。
久田記者「はい、「和解勧告」という発言がある前、原告の国側は、代執行手続きの前に取り得る、是正の指示、という手続きや、その後の違法確認訴訟を行わずに、代執行手続きに移ったことについて、翁長知事が、国に有利な判決に従う見込みがないために、違法確認訴訟には訴えなかったと主張していて、妥協点はないんだ、と強調していました。」
ですが、議論が平行線のままでは、国側は裁判で白黒をつけるしかないと思っていたのではないですか。
久田記者「はい、それでも和解を提案したことにどんな狙いがあるのか、正確には裁判長にしか分かりませんが、まず考えられることは、軍事的な面、自然環境の面、民意に反する基地建設は憲法違反だという論点。様々な論点が出しつくされていながら、裁判長が示していた論点は、『1』そもそも代執行を行わなければならない緊急性、と 『2』 すぐに代執行をしなかった場合、どれだけの期間にわたって、どのような公益の損害があるのか、これを示せ、ということだったんです。」
かみあっていませんよね。
久田記者「はい、個別の論点には入っていませんよね。」「ただ、裁判長は、知事と稲嶺名護市長の尋問も行う一方で、並行して和解の道があることも示しているんだと思います。」
ただこのような行政訴訟のなかで、和解というのが何をさすのか、具体的な中身は明らかになっていません。