Q+リポートです。今月から各自治体で来年度の保育所の入所申込みが始まりました。しかし、一方で県内の待機児童は4月現在で2591人。特に那覇市は人口当たりの待機児童数が全国ワーストと、依然として深刻です。その那覇市が、来年度から子育て環境の大改革に踏み切ります。
城間市長「公立幼稚園のこども園化は本市の施策の大きな転換点となります。」
那覇市が大きな転換点とする施策。それは4月から始まった新子ども子育て支援制度を受けて、復帰後の沖縄の幼稚園制度を大きく変えようというものでした。
那覇市こども未来部 末吉副部長「土曜日ですとか6時以降の延長保育の要望とか、給食についても、栄養管理の行き届いた給食を提供してほしいという要望がありまして、保育所と幼稚園の両方の機能を持った『認定こども園』への移行を予定している。」
那覇市では10年後の2025年度までに、市内の公立幼稚園36園全てを認定こども園へ移行。その半数の運営を公私連携型、つまり、現在認可保育園を運営する法人などに任せたいとしています。
そして、この「認定こども園」が那覇市最大の課題である、待機児童の解消へつながると期待されているのです。
那覇市こども未来部 末吉副部長「3・4・5歳を少しずつこども園へ移行することで教室が空きますので、0・1・2歳の定員ができる。そこを受け入れることで待機児童の解消へつながるだろうと。」
新たな制度、「認定こども園」。子どもを預ける側はどう受け止めているのでしょうか?
子どもを持つ親は「(Q.こども園は?)聞いたことないです。今2人子どもがいるけれど、上の子が幼稚園上がったら毎日お弁当大変そうだなとか考えていました。保育園の延長みたいな感じがいいですね。」
子どもを持つ親は「(保育園に)全然入れなくて。(Q.どのくらい待機児童?)まだ1年くらいですけど。(こども園)よりも早く保育士さんの待遇をよくして人を増やした方が早いと思う。」
【スタジオ】
中川:取材した秋山記者です。まだ認定こども園の仕組みがまだあまり知られていないようですね。
秋山:現在、県内にはこども園は5カ所ありませんし、那覇市も7月に施策を出したばかりで、まだ周知されていないという現状はあります。簡単に説明しますと、認定こども園は保育所と幼稚園の機能を足したものと考えて下さい。
秋山:これまで幼稚園は4・5歳児のみ、昼過ぎまでの保育で給食や土曜日のサービスはありませんでした。それをこども園にすることで、保育所の機能も持つわけですから、長時間保育が可能になること、そして給食や土曜の預かりも対応できるようになります。
比嘉:認定こども園ができることで、なぜ待機児童が解消されるのでしょうか?
秋山:こちらで簡単に説明しますと、今公立幼稚園にある空き教室を利用し、4歳児3歳児を保育所から移動させるます。そうすると、保育所の教室が空きますので、そこへ、最も待機が多いとされる0歳児から2歳児の定員を増やし、待機児童の解消を図りたいという狙いがあります。しかし、現在保育所を運営している社会福祉法人がこども園を運営することについて、現場では不安の声が上がっています。
園長先生「保育が必要な5歳児が保育が補償されるのでいいことかなと思うが、急にすすめすぎなことが懸念されていて、みんな保育士不足で悩んでいるので箱は増やしたいけど働く人がいないのは問題だなと。」
経営側が最も危惧しているのが、「保育士」の確保です。
那覇市では、3年後までには2500人の保育園や、認定こども園によるこどもの受け入れを予定していますが、そのためには600人から700人の保育士が必要だと言われています。
那覇市園長会では深刻な事態に、「保育士確保」の陳情を行なっています。さらに、ウィンフィールド園長は認定こども園で待機児童解消を期待するのは難しいのではと話します。
園長先生「5歳児だけを認定こども園にしていても待機児童解消にはならない。また3歳を幼稚園の施設で保育するというのは難しいので、どういうふうにしていくのか。保育とか教育はどうすべきかをもっと煮詰めたい。」
秋山:ウィンフィールド園長は施設についても、既存の幼稚園と保育所を使うことから、保育の連続性には欠けるのではということや、保育料はこども園への直接の支払いになるため滞納などの心配など、課題は山積していると指摘していました。
共働きの保護者のニーズが高まる中での改革、さらに那覇市の待機児童の解消に繋がるのか、そして、やはり主体は子ども達ですから、いい環境作りを一番に考えてほしいと思います。