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防衛施設庁・北原巌男長官「実質的に負担減と。騒音が減になるように、地元のご負担が減になるようにやっていきますと」

在日アメリカ軍再編の日米最終合意を受けて防衛施設庁の北原長官は、嘉手納町の宮城町長に対し、自衛隊との共同使用によって住民の負担は増やすことはさせないと約束しました。なぜ約束できるのか。今回に限ってアメリカ軍の運用を制限できると言うのでしょうか。

運用上の都合を優先し、真夜中でも戦闘機が騒音を撒き散らす嘉手納基地。静かな夜を取り戻すために周辺住民が国を提訴した嘉手納爆音訴訟で、判決は−

「夜間の飛行差し止めについては、アメリカ軍への支配が及ばない」

日本の司法がアメリカの軍事政策を前に無力であることを証明しました。また、金武町伊芸区では、これまで銃弾が住民地域を襲い、何人もけが人が発生したにもかかわらず、住民地域により近い場所に、実弾射撃訓練場が建設されました。

茂木沖縄担当相(当時)「機能の拡大につながるかどうかと。そういうことについては『そうでない』との返事をいただいたわけでありますから」

アメリカ軍のトップが大丈夫と言ってるからと記者の質問にあっさりと答えた、当時の沖縄担当大臣。

「危ない施設を造るな」と、政府がアメリカ側に面と向かって言えない理由の一つは日米地位協定の存在です。その中の管理権によってアメリカ政府は、『基地内では運用などのための必要なすべての措置をとることができる』ことになっているからです。改正を望む県民の声に対し政府は−

川口外相(当時)「運用の改善をやっていくと」

福田官房長官(当時)「まさに運用の改善をですね、これを、改善を図るべく」

日米地位協定にはほかにも、県民の人権侵害につながる数多くの問題があります。それを政府は、見直しを迫れば日米関係に亀裂が生じると懸命に避け、県民や国民には『運用改善で対応できる』と約束し続けているのが実態です。

アメリカ側に強く主張できない姿が続く中で発表された最終報告。日米軍事同盟の強化が前面に打ち出されました。

額賀防衛庁長官「60.9億ドルの分担(負担)をすることで」「(沖縄の)負担の軽減を図ることができると同時に日米同盟関係の信頼を構築することができると思っている」

ラムズフェルド米国防長官「きょうの最終合意は画期的だが、日米同盟の目的達成のためには作業はまだある」

海兵隊のグアムへの移転費用の6割を日本側に負担させることに成功したラムズフェルド国防長官ですが、やってもらうのはむしろこれからだと言いたげです。

沖縄対外問題研究会代表で日米関係に詳しい宮里政玄さんは、今回のアメリカ軍再編に警鐘を鳴らします。

宮里政玄さん「固定化ですよね、要するに住民との摩擦を避けてできるだけ摩擦の少ない北部に終結させて、それで永久化を図るということですよ」

アメリカは、95年の暴行事件のあと、普天間基地をはじめ基地の県内移設を試みたSACOや、日米共同による軍事行動の範囲を広げた新ガイドラインに合意しました。そしておととしのヘリ墜落事故後には、改めて辺野古への基地建設や、日本のお金を使ってアメリカの世界戦略を強化する今回の再編と、常に発生した問題を利用して戦略上プラスに展開してきました。宮里さんはこの歴史を踏まえ、いま沖縄がすべきことをこう提言します。

宮里政玄さん「辺野古に基地を造らせないということが第一でしょ、まず」「恒久化させないという意思表示をすること、沖縄が」「ものわかりのいいのはいかんと言ってるんですよ、もう何回も同じ事を言っている。あんまり物分りよくて政府の理屈とか抑止論とかに理解を示すとね、沖縄を救えない

屋良朝苗・琉球政府主席(当時)「沖縄県が発足したことを宣言する」

1972年に実現した本土復帰は、沖縄県民に核抜き本土並みが約束されたはずでした。しかし、その後明らかになった日米両政府の密約によって核の持込みが認められ、そしてアメリカは基地の自由使用を得たのです。

あれから34年、大戦での敗戦から抜けられない日本は、基地のない平和な島を取り戻すという県民の願いがかなわぬばかりか、逆にアメリカの世界軍事戦略に組み込まれようとしているのです。

謝花さん、こうして見ますとやはり沖縄は常に日米間の思惑に翻弄され続けてきたという感が強いですね。

そうですね、今回の最終報告には確かに嘉手納基地より南の基地の返還とか海兵隊8000人の削減など負担軽減策が盛り込まれましたが、注目しなければならないのは、この基地を使う環境がどうなっていくのかということです。アメリカにとって在日アメリカ軍再編の目的は、あくまでもアメリカが世界を効率よく軍事支配するための再配置です。そのアメリカ軍の軍事戦略に自衛隊が加わる。いわゆる日米軍事同盟の強化が、この最終報告で世界に発表されたわけです。

今日の知事は2つの滑走路の沿岸案では合意していないと明言していますが、基本的には合意してしまったわけですよね。

日米軍事同盟の強化を含めた最終報告に合意したと言うことは、今後そういう環境で沖縄の基地が使われ、アメリカの世界戦略に組み込まれることになるということに合意したわけで、そうなると負担どころか恐怖も感じます。本当にそれでいいのかということを県民全体で考えなければいけない岐路に立たされていると思います。