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在日アメリカ軍再編で沖縄に駐留する海兵隊員8000人の移転先となったアメリカの準州グアム。そのグアムの議員や副知事らが今週月曜日から沖縄を視察しています。彼らの目的などを取材しました。

グアム準州議会・ジョーン・ブラウン副議長「海兵隊が来るため非常に短期間に大規模なインフラ整備をしなければならないのが大きな課題」

グアムの副知事、カレオ・モイランさんが初めて沖縄を訪れたのは5月。海兵隊員8000人のグアムへの移転を盛り込んだ在日アメリカ軍再編の最終報告からわずか2週間後でした。

グアム準州・カレオ・モイラン副知事「(グアムの)アンダーセン基地に隣接するフィールドを整備し、そこへこの基地(普天間)を移すことができればいいと思う」

この言葉に、普天間基地のグアムへの移転の道が開けたかのようにも思えました。

しかし

ジュリアン・アグオンさん「グアムの人々は海兵隊8000人の移転に反対しているが、政治家が決めてしまう」

チャモロ人のジュリアン・アグオンさんは、慰霊の日に沖縄を訪れ、国際反戦集会に参加していました。

ジュリアン・アグオンさん「米軍に沖縄に残って欲しいのではなく、米本国に帰ってほしいのです」

アグオンさんは基地のない平和を願い、基地が増えることに強く反発しています。果たしてグアムの世論はどうなのでしょうか。

ジョーン・ブラウン副議長「グアムの住民の大半は兵士が増えることを歓迎しています。住民の多くは愛国心が強く、基地従業員も多いですし」

では、兵士が大量に増えることで犯罪が増えるのではとの懸念は無いのでしょうか。

ジョーン・ブラウン副議長「たしかに兵士が増えることで事件の増加も心配しています」「でも私たちは軍とのパートナーシップを緊密にしてうまく共存したいと思っています」「一方で、沖縄の人が受けているような住民への基地被害を最小限にし、同時に基地による利益は最大限にしなければならない。そのために何をすべきかを沖縄に学びに来たのです」

視察団の一行は基地を抱える自治体の代表と意見交換を行う一方で、辺野古では国の北部振興事業でつくられた施設を熱心に視察しました。

準州のグアムの住民はアメリカ市民であっても大統領の選挙権はなく、連邦議会に送り出されているたった一人の代議員にも発言権はありますが議案への投票権はありません。

基地を拒否することもできない議員にとって、国が決めたことを住民にできる限り利益をもたらすよう対策を講ずることが最大限の仕事となっているのが実情なのです。

グアムの視察団はきょうの帰国を前に記者会見し、海兵隊を受け入れるためのインフラ整備をアメリカ連邦政府に求めていく考えを示しました。

視察団を代表してカレオ・モイラン副知事は沖縄の海兵隊8000人がグアム移転に伴い、実際には家族などを含め5万人に上ると予測。

そのため水資源の確保やゴミ問題など、社会資本の整備が必要不可欠だとして、北部振興策など沖縄の実情に学び、インフラ整備のための予算措置を連邦政府に求めていきたいと述べました。

これより先、一行は県庁を訪れ牧野副知事と面談。応対した牧野副知事は「海兵隊の移転受け入れに感謝しています」と述べました。

カレオ副知事は今回の視察は非常に意義深かったと話したうえで、「市民の生活や文化など大切なものを守りながら基地を受け入れたい」と答えていました。

私たち県民はこの実情を見て「では基地のグアム移転をどう考えればいいの?」という気もします。

平和を願って軍事力の強化に必死に反発する声があり、一方で国は国の権限で政策を進める姿がある。その間にある議会は国の政策決定にほとんど無力という構図がグアムにあるわけです。

その実情を見て沖縄では国とどう向き合っていくべきなのかということを改めて考えることが大切と言えそうです。