秋の県知事選まであと4か月を切り、与野党の人選作業は慌しさを増しています。県政奪還を目指す野党は勝てる候補者では一致しているものの、各政党の思惑が入り乱れ混迷状態が続いています。野党の人選作業の過程をお伝えします。
大城一馬・社大党副委員長「喜納昌春委員長、糸数慶子参議院議員、今回の知事選挙への出馬は辞退するという結論に達しております」
候補者人選作業がこう着状態に陥った今月17日、事態を打開しようと社大党は委員長と副委員長が揃って出馬を辞退。野党5党協議に衝撃を与えました。
このため野党5党は、それぞれが知事選に出したい人を協議の場にあげ、それを市民団体や労組などを加えた拡大協議会に示し、宜野湾市長の伊波洋一さん、元県出納長の山内徳信さん、琉大教授の高良鉄美さんを軸にした協議が進んできました。
ところが、誰が知事選に勝てる人なのかで各政党の思惑が交差。しかも、知事選まであと4か月を切った現時点に至っても、人探しの議論しかできていません。
その中にあって、民主党と政治団体そうぞうが5党協議とは別に独自の動きを見せています。今月19日、保守系の浦添市長の儀間光男さんに出馬を要請。
呉屋宏・そうぞう代表代行「保革の対立軸ではなくて、ひとつになって本当に沖縄を考えられるという、そういう候補者を目指したい。その中では儀間さんというのは行政経験が豊富で、若い頃からの政治家ですから、これは本当に一致した点」
しかし儀間さんは、市長の職務を優先させるとして、
儀間光男・浦添市長「せっかくの知事選挙への出馬の要請でございましたが、出馬へのご辞退を申し上げることをお許しいただきたいと考えております」
儀間さんに出馬を拒否された民主は、すかさずそうぞう代表の下地幹郎さんと糸数慶子さん、山内徳信さんを推薦、5党協議に投げかけました。
この動きに対して共産党は一本化の最終決定をするのはあくまで5党協議であるとして、民主と5党協議の構成員ではないそうぞうの動きに反発しています。
古堅宗嘉・共産党県委書記長「新基地建設反対の旗印を明確にして、5党が団結して周りに多くの県民が結集する。そうしてこそ革新層も無党派層も良心的な保守層も結集できる」
呉屋宏・そうぞう代表代行「どうしたら知事選挙勝てるのか、(反自公の)枠組みで勝てるかが本旨だ。ですからそこを見ないで5党で協議することが大事となると、それはちょっと違うんじゃないか」
国会議員や県議会議員、市町村議会議員を多く抱え、県内では反自公の一大政治勢力になりつつあるそうぞうは、知事選に向けて無視できない存在。共産党を除く各党は、そうぞうとの連携をも重視した流れへと変化してきています。
新里米吉・5党協議座長「基本は5党。しかしそうぞうの意見が反映できる、意見が直接言える形の運営の仕方を努力していきたい」
そうぞうは民主党が下地代表を推薦したことで、知事選に向けた野党の協議に影響力をうかがいます。
呉屋宏・そうぞう代表代行「そうぞうとしては、下地代表は民主党さんから出馬要請があれば、それは検討しなければいけない時期は来ると思います」
一方、社大党は再び糸数さんの名前が挙がったことで、きょう午前、急きょ三役会議を開き、党として正式に辞退した糸数さんの議論はありえないことを確認。伊波洋一さんと新たに琉大助教授の島袋純さんの2人を5党協議の場に上げることを決定。民主とそうぞうの動きをけん制しました。
5党協議はあすと29日で人選の絞り込みを目指すとしています。ところが各政党の思惑が入り乱れて、人選作業はなかなか進んでいないのが現状です。
その一方で、現在、名前が挙がっている人たちが、どういう考えと政策を持っているのか、県民には全く見えません。最終的に一本化できたとしても、ではその人が知事候補としてどのようなスタンスで政策を進めるのか、それが示されないままでは、人選作業は混迷の度を深めるばかりです。
知事選リポート、来週の金曜日は与党の人選作業の様子をお伝えします。