今月20日に開幕する高校野球選手権沖縄大会、その出場校を紹介する「めざせ甲子園!」です。きょうから開幕までの間、実力校や話題校など15校を紹介していきます。1校目のきょうは夏の第4シード、沖縄尚学です。チームの根底には「悔しさ」がありました。
中村将己主将「夏まで近いし一人ひとりが覇気出して、全員で活気出して練習していこう、アップ!」
威勢の良い掛け声で練習が始まったこの夏の第4シード・沖縄尚学。今のチームになるまで、4季連続での甲子園出場、去年は春夏ともに甲子園ベスト8入りを果たすなど、その強さを示してきた。そんな偉大な先輩たちの後を追って始まった今のチーム。しかしその船出は厳しいものだった。
松元孝平外野手「あんな結果に終わってしまって悔しくて前が見えない状況でした。」
センバツ大会がかかった秋の県大会。沖縄尚学は、公式戦初勝利を挙げ勢いに乗る宮古総実に敗れまさかの初戦敗退。5季連続での甲子園の夢はあっけなく消えていった。
与那覇廉外野手「秋1回戦で負けて、悔しい思いが一番強くて(春夏)結果を残すということを考えて取り組んできました。」
比嘉公也監督「その悔しさを持って冬を乗り越えて、春3位という結果をのこすことができたんですが。」
秋の悔しさがあったからこそつかんだ、春の3位。さらに上を求める比嘉公也監督の評価は厳しめだが、選手たちは秋の悔しさを糧に確実に成長し続けている。
投手陣の中心は、神里廣之介。ことしの春季大会で3試合で完投と結果を残した。この投球の背景には秋、背番号1をもらいながらも登板することなく終わったことやこの春、エースナンバーではなく背番号10となった悔しさがあった。
神里廣之介投手「あの時は悔しくて、本当にふがいないなという思いがあってその思いもあって、春の投球があったと思います。」
一方、春背番号1を託された山城悠輔も、神里の調子があがったことで登板機会が減少。最後の夏に向け、神里と競い合いながら成長し続ける。
打撃では旧チームから試合に出ている俊足好打の中村将己が不動の1番。そして、春の大会でチーム1の打率を残したのが松元孝平。松元も、秋の大会では肩のケガで代打での1打席に終わり悔しい思いをした。冬場には手が血でにじむほどバットを振り込んできた。
松元孝平外野手「秋に自分の力を出せなかったので、冬場しっかり力をつけて春そして夏に力を出そうと思ってがんばっていました。」
中村将己主将「秋以降は苦しくて、どうしていいかもわからず。」
悔しさを胸に練習に打ち込む沖尚ナインの中で秋の敗戦にもっとも責任を感じていたのがキャプテン・中村将己。中村は1年生の夏からベンチ入りし、甲子園出場を決めた先輩たちを目の前で見てきた。
中村将己主将「自分たちの代で(連続出場が)切れてしまって申し訳ないというか先輩方に対して不甲斐ない結果に終わってしまって…」
中村は、今まで見てきた先輩たちと自分達とのギャップやキャプテンとしてチームをどうまとめたらいいかわからず苦しんでいた。その中村を支えたのは周りからの言葉だった。
秋の大会後、中村のもとに届いた歴代のキャプテンからの言葉。去年のチームの赤嶺謙キャプテンからはキャプテンとしての大変さを気遣いながらあまり抱え込みすぎないようにという言葉。一昨年の諸見里匠キャプテンからは夏に勝てるチームになれば良いからと励ましの言葉が送られていた。
また、中村の野球ノート。そこには「リーダーでチームは変わる」と比嘉監督から、中村への期待が綴られていた。
比嘉公也監督「今年の柱になってほしいという思いで、彼しかキャプテンは思い当たるところはないですし、良い時も悪い時もとにかく全力で引っ張ってほしい。」
中村将己主将「自分がしっかりやっていかないといけないのかなと思いました。夏こそは自分が引っ張って、甲子園に行けるようにしたいです」
苦しかった時期を乗り越え、成長し続ける沖尚ナイン。「秋の悔しさがあったからこそ今がある」そう胸を張って言える夏がやってくる!
与那覇廉外野手「この秋の敗退から夏の優勝というドラマを作っていきたいと思います。」
中村将己主将「5季連続では行けなかったんですけど、3年連続が残っているので全員で勝ちにいきたいと思っています。」
「絶対勝つぞ!よぉし」