こちら、北部地域を中心に活動するNPO法人、MESHサポートが運航する医療ヘリです。
MESHサポートは新たに、沖縄県全域をカバーできる固定翼機を、一般から支援を募って購入することを目指しています。その額、3500万円。今でも資金の4割を寄付に頼っている状況のなか、固定翼機の導入を目指す理由を取材しました。
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MESHサポート 小濱理事長「航空機、固定翼による患者搬送を行う。それと、現場への医師、ナースの派遣というのに取り組むべきじゃないかと。」
離島を多く抱える沖縄には、13の空港があります。医療ヘリが安全に運航できる行動半径は50キロとされるのに対し、固定翼機の行動半径は600キロ。MESHの行動範囲は全県域に広がります。
しかし、ヘリによる貢献が地域に定着してきたなか、MESHが飛行機の購入に動くのはなぜなのか。背景には、離島が抱える2つの問題がありました。
1.災害派遣による急患搬送
離島の患者搬送は、現在、自衛隊や海上保安庁のヘリが行っています。しかし、時間のかかる申請手続きや、医師が病院から空港に向かうまでの時間が必要で、出動まで数時間かかってしまうこともあります。MESHは、航空機の近くでドクターとナースを待機させ、こうした時間のロスを出来る限りなくそうと構想しています。
2.代診医・専門医派遣
沖縄地域医療支援センター 崎原永作センター長「専門医を確保するにしても1日確保しては診療できなくて、2日間かかってしまうと。1泊2日で専門医を確保しないと、通常の専門診療ができないとかですね」
沖縄地域医療支援センター長で医師の崎原永作さんは、定期便数の少なさなどから、医師の派遣がしにくい小規模離島の現状を指摘します。
小規模な離島では、島に1人しかいない医師の休みや出張の際など、代わりの医師を派遣する必要があります。また、島の人が特定の部位の専門医にかかるために、大きな離島や本島にまで出かける必要がないよう、専門医を派遣する事業も行われています。
しかし、急患搬送で活躍する自衛隊や海上保安庁でも、医師の派遣のための出動はできません。MESHの固定翼機を利用できれば、泊りがけだったケースでも日帰りが可能になるなど、派遣医師のスケジュールも確保しやすくなると、期待しています。
沖縄地域医療支援センター 崎原永作センター長「確実なスケジュールが出来るような手段があったらそれはとても代診のお願いも楽ですし、まして代診に行けるということは(離島の医師が)休めるということですから、そしたら離島にいる先生も、そういう支援があるんだと感じることによって、より離島で頑張ろうというか」
しかし運航に必要な経費は年間およそ5000万円。これをどう工面するのかが大きな課題です。活動範囲を広げた先の医療機関との連携や、空港の受け入れ体制なども、これから構築していかねばなりません。
MESHサポート 小濱理事長「我々が好きなようにやって、勝手にやりますではだめなんです。病院の先生たちと協力し、行政の人達と協力し、いい環境を作っていくことが大切なんです」
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【記者解説】
中川:このような経緯で固定翼機の導入が考えられているんですね。固定翼機の購入は一般からの支援にかかっているとのことですが、実際に購入はできるんですか。
久田:はい、来月1日までにあと700万円ほどの支援が必要で、残り5日間のラストスパートに入っている状況です。ところで今回、機体の購入と医療用に改造する費用の3500万円を賄うためにMESHが活用しているのが、「クラウドファンディング」というインターネットを活用した方法であることも注目されています。
久田:仮に今、中川さんが、このプロジェクトにいくら支援をするという場合、金額に応じて、例えばMESHのヘリにはサポート企業のロゴなどが機体に貼られていますけども、このような、機体に名前が入る権利などを購入予約する、という仕組みになっています。
中川:実際に支援したいと今思った方はどうしたらよいのでしょうか。
久田:詳細はメッシュサポートのウェブサイトなどから確認することができるんですけれども、一口3千円から始まって、いくつか金額に段階があります。これらの金額に、クレジットカードの決済予約を入れる、というかたちになります。
久田:またインターネットでの活動ですので、支援したいという気持ちをシェアする、例えばフェイスブックなどのSNS上で支援が広がりやすいという特徴があります。
中川:資金が集まるといいですよね、ただ期限は5日後に迫っているということで、もし仮に目標に到達しなかった場合はどうなってしまうんでしょうか。
久田:目標金額に到達しなかった場合は、このプロジェクトは不成立となり、購入予約もキャンセルされます。しかし今まで通りの現金の寄付だとか、振込といった通常の支援窓口は残っていますので、継続的な支援というのはもちろん可能です。
久田:VTRでご紹介した通り、課題は、医療用固定翼機の必要性について全県に理解を広めること、特に、自衛隊や海上保安庁の航空機とは違い、医療関係者の搬送などに、医療用の固定翼機が新たな役割を果たしうるんだということの理解が深まるかがカギだと思います。