あと2週間でクリスマスイブですね。街はイルミネーションで彩られていて、心躍る季節です。ですが、その輝きはもちろん電気。エコに関する意識が社会的に高まる中、イルミネーションで消費される電力やCO2は気になるところです。そのイルミネーションからはじまる、CO2削減へのあらたな取り組みが注目を集めています。比嘉記者です。
クリスマスイルミネーションがシーズンです。各家庭で、そしてホテルや商業施設などでのイルミネーションに心癒され、暖かさを感じる人も多いことでしょう。年々華やかさを増すイルミネーションですが、一方では電力消費量や、そしてそれに伴うCO2排出量の増加です。
しかしこの冬の風物詩をエコロジーの考えを取り入れながら開催するところも増えてきました。ここは東京・六本木ヒルズのイルミネーション。けやき坂や毛利庭園など、ヒルズ周辺の木々や建物には53万球のLEDが導入されました。LEDは白熱球などと比べて消費電力が低く、寿命も長いのが特長です。そしてここで使用される電力は、風力やバイオマス発電によるグリーン電力で賄われています。
県内でも人気の、ホテルのイルミネーション。上質のサービスとリゾート感、高級感など、非日常の世界でくつろぎを提供するホテル業と、エネルギーを削減するエコロジーの両立には、ホテル側も頭を痛めています。今回、このホテルではメインツリーにLEDを採用、そしてもうひとつ新たな制度を導入したのです。
山城さん「お客さまに癒しや安らぎを提供するのが使命だと思っておりますので、そういった意味で冬場のリゾートの楽しみの一つであるイルミネーションを続けた上で”カーボンオフセット”をやっていくという」
このホテルが採用した「カーボンオフセット」という取り組み。人間が生活する上で、どんなに努力をしてもCO2の排出は避けられませんが、その排出量を金額に換算し、他の地域や国の削減事業に投資することでCO2量の「差し引きゼロ」を目指すこと、これがカーボンオフセットです。具体的には、家庭や企業が排出するCO2を計算し、業者に申し込みます。この業者ではCO2排出量を国の定めたオフセット量で金額に換算します。これを「排出権」として購入し、世界各地の自然エネルギー事業に送られ、その結果排出したCO2がオフセット、つまり差し引きゼロになるというわけです。「排出権」は国に送られ、京都議定書の達成に数字として加算されることになります。
国内の業者はいくつかありますが、それぞれWeb上でオフセットの申し込みを行うことができます。個人や家族の場合、家庭生活やドライブなどの項目がありそれに答えていくとCO2排出量が算出される仕組みでこれにを申し込むとオフセットは成立します。
カヌチャリゾートでは、イルミネーション点灯期間中の電力使用料を算出、それにもとづいてCO2の排出量を計算し、これをオフセットすることにしました。電球の数はおよそ100万個、3月までの4ヵ月点灯させるとおよそ331トンのCO2が排出されることがわかりました。
この排出量を業者にオフセット申請し、算出された金額はおよそ152万2600円。この金額が、森林保護や水力発電、風力発電設置など、CO2を削減する様々な事業に利用されるわけです。
山城さん「どうしたら、イルミネーションを楽しんでもらいながら環境問題に取り組めるかということが提案としてあって」
カーボンオフセットの導入にあたっては、希望する利用者とエコロジーを共有することを目標としました。まずこのイルミネーションの入場料の一部を排出権購入に、そして希望する宿泊者のためにステイプランも設定しました。この「カーボンオフセットプラン」で宿泊すると宿泊料金の一部が排出権購入に充てられます。具体的には一人当たり100キログラムのCO2がオフセットされることになるのです。
山城さん「ホテルとしていろんな形があると思うが、環境問題にどんな取り組みができるか、今回はカーボンオフセットだったんですが」「スタッ全員で知恵を出し合いながら、できることからやっていこうとかんがえているところです」
環境問題への意識をホテルと利用客とで共有する。カーボンオフセットはまだ始まったばかりですが、ホテルの癒しや華やかさを提供しつつ、環境問題に取り組む新たな取り組みに期待したいところです。