11月19日の知事選まで3か月に迫りました。与党は沖縄電力会長の仲井真弘多さんの擁立を決定。対する野党は依然として絞り込み作業の段階にあり、明暗を分けています。知事選に向けた与野党の現状をお伝えします。
「仲井真さんを、幹事会として全会一致で決定をして、次の選考委員会に提案するということが決まりました」
稲嶺知事の勇退表明を受け、6月に選考委員会を立ち上げた与党。その下に自民、公明、県民の会と経済団体の代表ら13人で構成する幹事会を設置、その幹事会で人選作業が進めらました。
大詰めを迎えた人選作業は、仲井真さんと副知事の嘉数昇明さんの2人に絞られたかに見えました。ところが土壇場になって、幹事会の中で、衆議院議員の西銘恒三郎さんの説得に当たり、固辞されると、これまで辞退した複数の人を上げて、再度検討すべきだと迷走状態に陥りました。
「出ていただく方にも大変ご迷惑になるだろうし、また選挙の準備がありますので、これ以上時間を延ばすわけにはいかない」
どうしても今月19日までには候補者を決めたい幹事会。16日の会合で最終結論を出しました。
「経験豊富な方がこの難局を打開していくには相応しい。難しい問題を解決して打開していける人というのは、もう仲井真さんしかいない」
与党の選考委員会は今月21日に仲井真さんに出馬を要請、その役目を終えます。今後は仲井真さんと各政党が政策協定を結び、選挙態勢の構築を急ぐ方針です。
「沖縄のアイデンティティーをしっかり持って、沖縄の個性を自ら出し、そして沖縄が決めると。私は強い沖縄をつくることが大事だと思います」
「基地のない平和な島、沖縄を目指したい。基地経済から、私たちは平和経済へと、平和産業に切り替えていく必要があります」
野党の人選作業は、大田県政の出納長を務めた山内さんと、自民党を離党し、衆議院議員に返り咲いた政治団体「そうぞう」代表の下地さんの2人が残り、今月13日、公開討論会が行われました。
2人とも辺野古の基地建設には反対で一致したものの、憲法や教育基本法の改正、自衛隊問題では、考えに大きな隔たりが見られました。
「不戦の1項を守りながら、2項の精神は自衛隊を自衛軍に認めることで、決して失われるものではない」
「愛国心の押し付けと戦争につながる教育基本法の改悪を許さず、憲法の平和理念9条を守り、県政と県民の暮らしの中に活かします」
会場では、双方の支持者が激しい言い合いとなる場面も見られ、絞り込みどころか、対立と相互不信を生む形となりました。
きのう、野党5党と「そうぞう」の協議が行われましたが、各政党が公開討論会の感想を述べただけで、絞り込みには至りませんでした。分裂だけは避けることを再度確認したものの、あまりにも考え方の違う2人をどうやって1人に絞るのか。手詰まり状態の中で時間だけが過ぎようとしいます。
候補者を決めてすでに選挙態勢に入った与党に対し、一方の野党はいまだ人選作業で手間取っています。県政奪還を目指すための生みの苦しみと言えばそうかもしれませんが、野党の混迷はいつまで続くのでしょうか。