普天間基地の新たな移設計画などを地元と話し合うため国が早期の設置を目指していた協議会は、稲嶺知事や名護市をはじめ北部市町村長が出席し、初会合が開かれました。
謝花記者「協議会は結局、けさまで出席を拒んでいた稲嶺知事が急きょ出席し、成立しました」
官邸にはけさ8時の協議会開催に向け、小池沖縄担当大臣と額賀防衛庁長官の2人の主宰者をはじめ、関係閣僚が次々と入りました。一方、けさまで出席を拒んでいた稲嶺知事は、小池大臣に電話で呼ばれ、開催予定時刻を50分以上過ぎて官邸に入りました。結局、稲嶺知事は北部振興策の継続について県の要望に応える形になったとして、正式に参加を認めました。
小池百合子沖縄担当相「沖縄の求めている、また北部が求めている」「もともとの内閣府の案で調整ができて、また政府の案として認めていただいたということであります」
稲嶺知事「小池大臣のほうから北部振興策についてはきっちりと進めていくというお話がございましたので、環境は整ったというふうに考えております」
協議会への県の参加までには、昨夜から今朝にかけて二転三転しました。記者解説でお伝えします。
謝花記者です。県は北部振興策に対する政府の姿勢にぎりぎりまで抵抗したようですね。
まず、けさまで県が『参加する状況に無い』と拒んでいた点は、小池沖縄担当大臣が行う冒頭の挨拶が、『県が求めている北部振興策の継続は、移設計画の進み具合次第』ととれる内容になっていたためです。
県はきのう午前、政府に修正を求め、午後には稲嶺知事が協議会とは別の用件で上京していましたが、きょう未明になっても政府から何の返事も無かったため、午前1時にマスコミに対して協議会に参加しないことを発表しました。
この動きに、けさ、小池大臣が稲嶺知事に直接電話し、『挨拶の文言を調整しているから』と稲嶺知事を呼び、知事が遅れて出席したというわけです。
結局、北部振興策は移設計画の進み具合というニュアンスは払拭されたのでしょうか。
挨拶ではそれは払拭された形になりました。この北部振興策について、実は予算をめぐって内閣府と防衛庁で溝がありました。内閣府、小池大臣にとって北部振興策は大事な予算で、今後も確保したいわけです。一方、防衛庁は今後は北部振興予算を基地とリンクさせて移設計画をしっかりやっていきたいう考えもあるんです。更に財務省が『基地とリンクさせなければこのご時勢大幅カットだ』という構えで、そういう意味で財務省と防衛庁は考えが同じです。
振興策ばかりがきょう前面に出ていますけれども、県が求めている『あくまで暫定的なヘリポートで危険性を除去する』という案は話し合われる環境にあるのですか。
暫定へリポート案もついて政府は、『じゃあ協議はしてもいいですよ』と議題に加えています。しかし政府はもともと実施する気はありません。これに関して額賀長官と稲嶺知事は18日の会談の翌日19日、非公式に再び面談していて、稲嶺知事が額賀長官に「辺野古沿岸部への移設と暫定へリポートの建設の議論を平行してやりましょう」と改めて提案したのですが、額賀長官はこのときも否定的でした。
さらに額賀長官は「辺野古沿岸案は原則変えない」と何度も言っていて最も重要な点で政府は強硬姿勢なままです。そんな中で結局きょう、県、そして北部市町村が参加しての辺野古沿岸部への移設に向けた協議会がスタートしたわけです。
今後はどう進むのでしょうか。
政府は辺野古沿岸案の建設計画策定に向けた作業を進める方針です。県は協議会で辺野古沿岸案の実効性に疑問を指摘し、反対の姿勢を貫く方針ですが、結果的に政府が大きな一歩を踏み出したということには変わりありません。
今後はかなり政府のペースで進んでいくのではと懸念されますが、国も県も大きな選挙を控えていて先行きは不透明です。普天間協議会についてまとめてお伝えしました。