4月から様々な制度が変わりますが、新たに施行される法律で「生活困窮者自立支援法」があります。生活困窮者自立支援法とは、経済的に困窮し最低限度の生活ができなくなる恐れのある人の自立を促し支援するための法律で、就職に関することはもちろん住居や家計相談、学習支援と幅広い支援内容となっています。この中で自治体へ設置が義務づけられる窓口業務その実態を取材しました。
大城和真さん「今週の日曜日7時から3名様でお席お取りしておきますのでお待ちしております。」
那覇市にある飲食店でホールスタッフとして働く大城和真さん24歳。
去年1月、市内で倒れているところを発見されました。所持品はなく、記憶障害が見られたことから、病院で診察の結果、「全生活史健忘症」と診断されました。自分が誰なのかどこからきたのかも分からない重度の記憶障害を抱える大城さん。住む場所も、収入もなく途方に暮れていた時にパーソナルサポートセンターに出会います。
大城和真さん「今仕事をしているか、まともに生活ができているかも分からない状態でしたし、今住んでいるところもサポートの方の紹介なので(サポートが)なかったら。」
生活に困っている人の住宅支援や就労支援など多方面から支援するパーソナルサポートセンター。
4月から始まる生活困窮者自立支援法では、住む場所がない、生活ができない、仕事がないなど、生活保護をもらっていないが困窮している人たちに支援を行ない自立を促す相談窓口の設置を自治体に義務付けています。
パーソナルサポート南部事務所 神里直樹統括責任者「生活に困っている人、住居を失う恐れのある人は全部対象となります。これまでは高齢は高齢若者は若者障がい者は障害者ということだったが、法律の特徴はそれを制限しない誰でも困っている人がいれば支援できるのが特徴。」
大城さんは、那覇市役所で名前と生年月日を取得、さらに当面の住居として支援員に民宿を手配してもらい、あっせんされた研修先となる今の事業所で採用されました。
大宜味朝也店長「本人が仕事をしたいという気持ちを全面的に押し出していたので、会社としては過去のことよりこれから先を作ることの方が大事と感じて特に(採用で)気にすることはなかった。」
大城和真さん「面接の時点で店長には全部話してその上でやってみようと言ってくださって本当に感謝しています。」
就職して8ヵ月。始めは人と話をすることが苦手だったという大城さんも、今ではお客さんに自分から話しかけるなどその仕事ぶりは高く評価されています。
大城和真さん「忙しくてどうしようとなったりするけど一緒に働いているかたの手助けがあったり楽しいですしやりがいもある。」
相談者の実態は様々ですが、仕事をしたいと言って窓口に来るものの実際にはそれ以前の生活基盤が出来ていない人も多いといいます。県の2年間のモデル事業の結果。相談内容を見ると64%の人が仕事を巡る問題で相談に来ている一方で57%の人が生活を巡っても問題を抱えていることがわかっています。
パーソナルサポート南部事務所 神里直樹統括責任者「実際には家の確保とそれから食事の確保それまでの基盤を作る対象者が圧倒的に多い。家さがしが業務のかなりの量を占めているのが実情ですね。」
現在、大城さんは記憶を取り戻すため月に一度通院しながら、自立に向けて仕事に励んでいます。
大城和真さん「まず、アパートを借りて一人暮らしをしてそこでもかかるお金も増えると思うが、やりくりだったりしっかり生活していけるようにしたいなと思います。」