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那覇市がおととしから始めた生活保護世帯の不登校の中学生の居場所事業。この番組でも何度かお伝えしてきましたが、国による補助金の減額のためその存続が危ぶまれてきました。子ども達の居場所はどうなったのでしょうか。

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<スタッフミーティングの様子>

金城代表「今進学の話はしているの?」

スタッフ「今木さんと一緒にしています」

金城代表「そこをしっかりと目標設定して、とにかく3月まで短期スプリント決戦ですよね。彼女主役のプログラムを作ってあげるといいかなと」

スタッフ「一人で何かをするというのが難しいのかなと」

週に一度のスタッフミーティングでは、一人一人の行動や言動などど細かい変化を共有し、子ども達が学校への復帰ができるよう様々なアプローチを考えています。

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しかし、このククルが今年度末で打ち切りになるかも知れない。代表の金城さんのもとに連絡が入ったのは昨年末のことでした。これまでこの事業は100%国の補助事業でしたが、国の制度変更により4月から補助率が2分の1に減額。財源の確保が難しくなっていました。

そんな中、ククルでは一大イベントが計画されていました。初めての一泊旅行。行き先は渡嘉敷島です。

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スタッフ「あーよかった。グッジョブ!おはよー」

朝起きられなくて学校に行けない子、集団生活が苦手な子、非行と判断されて学校からはじかれてしまった子、家庭だけでなく様々な事情を抱える子ども達。

中学3年のYくんはククルに通い始めて1年。以前はゲームに夢中で会話が苦手でしたが、今では自分からスタッフや友達に話しかけるようになりました。

Yくん「小学校の修学旅行は伊江島行ったよ。(Q.中学校の修学旅行は終わった?)うん」

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金城隆一代表「修学旅行言っていない子もいますし、事業も今後どうなるかわからないのでぜひ思いで作りで楽しんでほしい」

金城さんはもしかすると最初で最後の修学旅行になるかもしれないと、複雑な胸のうちを話してくれました。

渡嘉敷島での最初の活動は体育館でのバドミントン。最初は、やる気を見せなかった子も、徐々に夢中に。体育館には笑い声が響きます。

Yくん「(Q.スポーツは好きなんだよね?)まあね。これ後から筋トレやらないと翌日やばいよ~」

そして、夜はみんなでバーベキュー。

今木ともこさん「(Q.ククルは鉄板焼き率高いですよね?)そうですね。(ククルでは)みんなのリクエスト聞いていると本当に肉食になっちゃうので、そこは適度に聞いたり聞かなかったり」

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ククルの活動で最も大切にしてきた食事の時間。1年間、みんなで一緒に食事を作り食べることを続けた結果、会話も増え、自主的に手伝うようにもなりました。

みんなが寝静まった午前2時半、1人テレビを見つめるYくんの姿がありました。

Yくん「(Q.全然眠れない?)うん。(Q.いつもこんな感じ?)いつも2~3時までは普通に起きている。(Q.将来やりたいことは?)工業とか機械とかに行きたいですね。昔は高校とかも行きたくなかった」

ククルに通い始めてから少しずつ自分の将来を考えるようになったといいます。

金城代表「どうでしたか?」

Yくん「楽しかったです」

金城代表「何が一番楽しかったですか?」

Yくん「バーベキューじゃん」

Fさん「思ったよりたのしかったんじゃん。最初は絶対楽しくないと思ってた」

Kくん「(Q.何が楽しかった?)バドミントン。」

金城さん「バドミントン結構うまかったよね~」

素直な感想を口にする子ども達、金城代表は改めて活動の重要性を感じていました。

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金城隆一代表「しっかりと子ども達によりそっていくというスタンス。その中で子ども達が答えを返してくれるので、こういう事業が全国に広がっていくといいのになと」

そして、先週開かれた、ククルの運営委員会。そこで、那覇市からククルの事実上の打ち切りが報告されました。

那覇市福祉部保護管理課 山城忠信班長「福祉部としてはこの事業は必要だと予算要求はしていたが、ゼロになってしまっています」

那覇市は2015年度から「自立支援教室事業」として教育委員会が行う不登校事業を拡大。その中で生活保護世帯の子ども達も支援する方針だということです。しかし、今ククルに通っている子ども達が新たな場所で同じように通うことができるのか、福祉の観点でどこまで寄り添えるのか課題は残されています。

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