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闘牛が盛んな沖縄では牛の番付があって、横綱になるためには500頭の頂点に立たなければいけません。どこにも負けない横綱を育てる三世代家族を取材しました。その秘策をご覧下さい。

明治時代後半から始まったとされる闘牛。牛どうしの迫力あるぶつかり合い。それが闘牛ファンを熱くするのです。沖縄では年間25回の大会が開かれる程盛んで、中でもうるま市でのうるままつり闘牛大会には観客3000人が詰め掛けました。

最も注目が集まった戦いは横綱戦。勝負は、どちらか一方が相手に背中を向けて逃げ出した時点で決着。その間、闘牛士たちがこのように大きな声をあげ、牛の闘志をかきたてます。

熱戦の末、うるま闘牛大会の横綱となったのは幸地家の闘天。幸地家は、親子三世代で7頭の闘牛を育てている闘牛大好き一家なのです。

午前6時、早朝の牛小屋の掃除はおじぃちゃんの良盛さんの担当です。

一日1頭あたり30〜40キロの草を食べる闘牛。7頭ともなると200キロの草が必要で、この一家の広大な敷地をすべて牧草地にしていました。

幸地家次男・諒秀さん「大変ですけど、そうしないと牛も育ちませんよね。子どもがいないからまだ分からないですけど、多分自分の子どもにご飯をあげる感じじゃないですか」

先日のうるま市の大会で優勝した闘天。この牛が最も強いかと思えばこちらの「大龍王」は県の大会を制した正真正銘の横綱なのです。ここはまさに闘牛の名門校。強い闘牛は、一朝一夕にはできません。そこには、秘密のトレーニングがありました。

諒秀さん「体操みたいな感じでストレッチとか、首周りの筋肉を鍛えたり、そういった感じのトレーニングです」

その後、持久力をつけるために2キロの散歩。

体のバランスや体調の不良を訴えていないかなどチェックするのは、お父さんの政和さんの担当で、少しでもおかしな点があるとすぐ処置をします。

午前の仕事が一段落すると遅い朝食。おばぁちゃん手作りのメニューをみんなでいただきます。

菊江さん「子どもたちがみんなお利口だから。お孫さんたちが一生懸命働いて、人情も心もあるから、とてもいい子であります」

良盛さん「おばぁさんも闘牛を好きになって、けんか見に行ったほうがいいと思うんだけど、全然行かないわけ。これが欠点」

一度も闘牛場へは足を運んだことのないおばぁちゃんですが、闘牛大会の日の祈願は忘れたことがありません。

子牛の時から闘争心をかきたてるために実際に対戦。こちらには横綱になる選手層が厚いのです。

政和さん「単なる調教、運動だけじゃなくて、心の訓練まで。あるいは闘争心を出すためにはどうすればいいか、考えながらやっています」

諒秀さん「闘天は前向きな牛さーね」

闘天の勝利を願って開かれた祝勝会。これまでの苦労が報われるひと時です。闘牛を育てて34年。幸地家の皆さんはこれからも家族みんなのチームワークで大会に挑みます。

政和さん「やっぱり親と子、おじぃちゃんのみんな(共通の話題)で話せることはすばらしいことじゃないかね?」

政和さん「自分も将来、父親になったら(闘牛を育てる)家庭を持ちたいし、そういうふうな父親になりたいと思います」

あさって日曜日には、沖縄一を決める闘牛大会が行われる予定で、幸地家の横綱「大龍王」は2度目の防衛を迎えます