今年を振り返るシリーズ2006沖縄、きょうは「選挙」です。県内では1月の名護市長選挙を皮切りに11月の県知事選挙まで実に48の選挙が行われ、まさに選挙一色に染まりました。最大の選挙ショーは県知事選。与野党、事実上の一騎打ちとなり、県民の関心も高まりました。その知事には稲嶺県政の継承発展を訴えた仲井真弘多さんが初当選。県政の舵取り役となった仲井真知事の手腕が注目されます。
1月22日 名護市長選島袋吉和初当選
1月、岸本市長の勇退に伴う名護市長選挙には、岸本市長の後継として市議会議長の島袋吉和さんと、反自公を掲げた市議会議員の我喜屋宗弘さん、それに革新系無所属の市議会議員、大城敬人さんの3人が立候補。辺野古への普天間代替施設の建設をめぐって激しい選挙戦が展開されました。
島袋吉和さん「沿岸案につきましては反対をしております。もし地元が納得する案でありましたら、これから協議に応じていきます」
野党は保守系候補を担ぎ、分裂選挙となって敗北。新基地建設反対運動にも亀裂が入るなど、各方面に影響を与えました。
2月7日 南城市長選古謝景春初当選
本島南部の佐敷町、知念村、玉城村、大里村の4町村が合併して南城市が誕生。2月の市長選挙では、佐敷町長を除く3村長が立候補。初代市長の座を争いました。地域の有権者数では不利とみられていた知念村長の古謝景春さんが当選。新しい街づくりがスタートしました。
3月5日 石垣市長選大浜長照4期目当選
3月には石垣市長選挙が行われました。懸案の新石垣空港建設事業の着工が決まり、争点のない選挙戦でしたが、大浜長照市長が原色の強みを発揮して4選を果たしました。
4月23日 沖縄市長選東門美津子初当選
県内第二の都市、沖縄市の市長選挙は4月に行われました。自公は市議会議員の桑江朝千夫さんを早々と決定。対する革新側は、衆議院議員を務めた東門美津子さんを擁立。中央市街地商店街の活性化対策や、泡瀬干潟の埋め立て問題などを争点に、激しい選挙戦を繰り広げました。東門さんの当選は、県内初の女性市長の誕生でした。
10月8日 統一地方選 うるま市議会議員選挙
9月の統一地方選を経て、10月には、うるま市議会議員選挙が行われました。具志川、石川、勝連、与那城の4市町村が合併して、うるま市が誕生。その、うるま市の議会議員の数は何と86人というマンモス議会。これは、合併に伴う特例措置を議員が行使したものですが、厳しい財政難の中、選挙まで1年7か月もマンモス議会が続きました。
10月15日 豊見城市長選金城豊明3期目当選
豊見城市長選挙は10月に行われ、市議会議員3人が現職の金城豊明さんに挑みました。結果は金城市長が3選を飾りました。
11月19日 県知事選挙仲井真弘多初当選
県内の選挙を締めくくったのが県知事選挙でした。与党は、稲嶺県政の継承発展を掲げた沖縄電力会長の仲井真弘多さんを擁立。これに対して野党は、人選作業が二転三転、難航し、告示ぎりぎりになって参議院議員の糸数慶子さんを担ぎ出しました。豊富な運動量で先行する仲井真さんに対し、糸数さんは出遅れが最後まで響きました。
「金城さん今年は多くの選挙があったんですが、基地をどうするか。埋め立てをどうするかなど、経済発展か自然保護かという選挙が多かった印象がありますね。」
「はい、南城市や八重瀬町のように、市町村の合併による新たな地域づくりを問う選挙もあったんですが」「沖縄市長選挙では、泡瀬干潟の埋め立てをこのまま進めていいかどうかが争点になりました。」「名護の市長選挙と県知事選挙はもちろん、辺野古の基地建設の是非を問うものになりましたね。」
「しかし、泡瀬干潟の見直しを主張した東門さんが通っても、即座に建設中止にはならず、自衛隊の訓練施設についても跳ね返せませんしこのあたりに選挙公約と行政の長としての難しさをにじませました」
「名護市長もV字案受け入れを表明したものの、県民が納得していない中いたずらに時間が過ぎていきました」
「仲井真知事については、県内移設を容認しているものの、新しい基地建設に反対を表明した糸数けいこ候補の30万票という県民をも納得させる方法で政府と渡り合っていかなければならないわけです。公約と実際の行政運営の難しさを実感した年でもありました」
「来年はどのような選挙が?」
「来年は4月に参議院の補欠選挙があります。同時期に宜野湾市長選挙も行われます。そして、夏には参議院選挙があります。」
「与野党とも年明けには人選作業を始めますが、補欠選挙と本選挙をめぐる事前の駆け引きすでに動き出しています。」
「知事選では反自公で野党は結束したものの、本来の各政党色を失い、失速した感もあります。来年野党は、勝負の年となりますが、それ以前に共闘体制の再構築が求められるでしょう。」