糸数慶子さんの辞職に伴う参議院議員補欠選挙と普天間基地を抱える宜野湾市の市長選挙が4月22日、同時選挙で行われます。特に宜野湾市長選は、普天間基地の移設先として政府が計画しているキャンプシュワブと沿岸部を含むV字型滑走路案が新たな展開を見せる中で行われるだけに、単なる一地域の市長選挙とは違い、国政レベル並みの選挙として注目を集めています。これに与野党、参院補選とセット戦術を組み、7月の参議院の本選挙につなげたいところです。しかし、参院補選の人選劇で与野党双方、内部対立が噴出しています。金城記者の報告です。
市民「住みよい街。失業者が少なくて」「やっぱり基地を早く撤去してもらいたいです」「老人の方も多いですから、医療費とかあるいは介護保険料とか、あまり上がらないような形で」「基地の跡地をどのように利用するか聞いたことあるんですけど、いい方向に持っていってほしい」
4月22日に行われる宜野湾市長選。現職の伊波洋一市長と、前の教育委員会の外間伸儀教育部長の一騎打ちの公算が大きくなっています。
外間伸儀前教育部長「市民の中には公共事業が少なくなってきて、非常に閉塞感をもっているし、非常に不満を抱いているといことから、ぜひともこれらの事業を取り入れることによって、市の生活環境整備事業を進めていきたい」
自民、公明が推す外間さん。現市政は基地政策に偏っていると批判し、市民本位の市政を取り戻すとしています。
伊波洋一市長「市長は基地問題だけをして何もしていないんだということをしきりに宣伝いたしますが、正直なところ、私たち宜野湾市の業務の全体の10分の9以上は、ほとんど基地政策以外の課題であります。それを市長としてやっていないのかというと、きちんとやってまいりました」
2期目を目指す伊波市長。基地政策のイメージが強いだけに、出馬会見では4年間の実績を上げ、市民が主役の市政運営を行っていると応戦の構えです。
今選挙は、普天間基地の移設先の問題が新たなヤマ場を迎える中で行われるもので、両陣営、与野党とも、同じ日に行われる参議院補選とセットでの選挙戦術を立てています。
ところが、相乗効果を狙うセット戦術に思わぬ波乱が起きています。参議院補選は、与野党とも候補者人選作業でそれぞれ1人に絞り込みましたが、ここにきて内部調整が思うように進展していません。
自民と経済界の選考委員会は、那覇市議会議員の島尻安伊子さんを賛成多数で決定。しかし、これに県議団が難色を示したのです。
新垣哲司自民党県議「もっと議論が必要だ。一線で働くのは何と言っても地方の市町村議員であり、説得しなくてはいけない。こういうような時間すら与えられなかった」
県議団は、勝てる候補、党への貢献度といった選考基準をクリアしていないとして選考委員会を批判。島尻さんに難色を示す市町村議員の声は強いとして、人選作業の再考を求めています。これに対して選考委員長を務める西銘順志郎県連会長は、選考委員会の決定で進める考えです。
西銘順志郎自民党県連会長「決まったら皆で一緒にやろうというのは確認していますから、感情のしこりが残らないような努力はしていきたい」
一方の野党は社民、社大、民主の3党が連合沖縄の狩俣吉正会長を擁立。共産とそうぞうに選挙協力を要請しています。しかし、共産党は辺野古への基地建設や憲法改正に反対、国会では無所属を貫くといった、かなり高いハードルを示していて、狩俣さんが共産の基準と一致できるかが共闘の課題となっています。
前田政明共産党県委副委員長「連合会長だからどうのこうのではない。確かにハードル高い。その人がどういう形で県民の願いに応えられる対応をするかという意味で、私たちは非常に関心を持っています」
参議院補選に向け、与野党双方とも内部に複雑な事情を抱えて立ち往生しているのが現状です。それが、宜野湾市長選の取り組みにも影響しており、与野党ともどういう形で早期に決着を図るのかが注目されています。