参議院補欠選挙は告示まで6日に迫り、与野党両陣営は選挙戦に向けた態勢固めを急ピッチで進めています。予定候補者を擁立した与野党。しかし、その一本化までには駆け引きや思惑など複雑な事情がありました。金城記者のリポートです。
与党が擁立したのは、前の那覇市議会議員の島尻安伊子さん。意表をついた人選は、様々な事情が複雑に絡み合った末の結論でした。まず真っ先に反発したのが自民党の県議団。
新垣哲司・自民党県連幹事長「やはり県議団は自民党の党則で出そうと。当初はそういう考え方だったんですが」
県議団は党籍を持ち、党への貢献度、知名度という基準での選考を主張。民主党を離党したとはいえ、市議会議員。全県選挙を戦えるかどうかが議論になったのは言うまでもありません。
そして夏の参議院選をにらんだ動き。県連会長が出馬する選挙とあって、補選の島尻さんとセット戦術を組むことで、女性票の獲得という戦略にも沿うものでした。
島尻安伊子さん「生活者の視点ということをベースに考えていかなければならない。私の活動の原点はそこにあるものですから、これを選考委員会でみていただいて、選んでいただいたということを確信しております」
島尻さんは自らの政治姿勢が評価されての結論だとして、出馬要請を受けました。
島尻安伊子さん「子育て世代の代弁者として、教育、人材育成、医療福祉問題などの全面的な解決を図るための政策を立案し、実行できるよう力を尽くします」
候補者が一本化されたことで、与党内は選挙に向けてまとまりを見せています。しかし、実際の選挙を戦うのは地方議員。
新垣哲司・自民党県連幹事長「いかになぜ、島尻安伊子かということですね。これから先、浸透させていきたいと思っております」
一方の野党。格差社会の是正を掲げ、前の連合沖縄会長の狩俣吉正さんを擁立しました。
狩俣吉正さん「私たちの要求というのは国政の場で決まっていくということになっていますから、働く人たちのそういった声を国政の場でぶつけて、是正を求めていくことが大事じゃないか」
狩俣さんについては社民、社大、民主の3党が擁立。これに共産が個別に政策協定を結ぶ形となりました。共産との政策協定は当初、難航するものと思われました。連合は非自民反共産の方向をとっているからです。協議は続きました。そして…。
前田政明・共産党県委副委員長「連合の会長であっても、沖縄の現状の問題で一致して、国政で一致した課題で頑張るということで話をしてきたわけです」
去就が注目されたのは政党そうぞう。
呉屋宏・政党そうぞう会長代行「協定が結べない中で、自主投票に持っていくのは当然だと思っています」
しかし自主投票としたものの、誰が勝ってほしいかとの質問に、党員の全員が狩俣さんに手を上げたといいます。
告示まであと6日。島尻さん、狩俣さんともに各市町村に支部を設置。来月22日のゴールを目指し、すでに走り始めています。
参議院補欠選挙は4月5日告示、22日投開票です。