草柳キャスター「シリーズ市長選。今日は名護市東海岸。辺野古に計画される基地に面している13の区についてです。ここに住む有権者は3200人余りで市全体の7%しかないんですが、実際に運用が始まると、圧倒的に影響を受ける地域です。」
比嘉キャスター「しかしその声は東京やワシントンの動向に比べ、余り顧みられることはありませんでした。この17年間の苦悩を追いました。」
早朝から交差点で手を振るのは、名護市民投票から17年、基地に反対してきた夫婦です。
渡具知武清さん「もう長いねえ。本当終わりにしたいねえ」
渡具知智佳子さん「名護が最後の砦なんで頑張らなきゃと思ってきたんですけど」
毎週土曜日はキャンプシュワブの前に家族でたち、大浦湾守ろうと呼びかけてきました。
渡具知智佳子さん「稲嶺市長が反対の意見を出して市民意見も多数反対が出ているのにああやって(知事は埋立て)承認してるし。でも決断はこっちに迫るっていうのがとても解せないんですけど」
現職市長の応援事務所。若い世代が少なくなる中、高齢者が頑張っています。
嘉陽の上原晴子さん「生まれつき嘉陽です。この年になって三つの足で、近いところのあのもずくとか。絶対に基地は造らせていけない。一つのその言葉だなあ。」
稲嶺支持の女性「基地を造って、海を前にして暮らしているわしたちを犠牲にしてまで、どこもきれいにして欲しくない。こっちは犠牲だけ。キレイなるのはあっち(西側の市街地)」
比嘉美佐子さん「私達一生懸命頑張ったのよ。それが(知事に)ひっくり返されたでしょ。あの人は一生恨まれるよ。罪人だよ。すごく腹が立ってる」
この17年、基地に反対するおばあたちで店をだすなど、地道に反対の声を上げ続けてきました。
比嘉美佐子さん「もう、負けたら終わりでしょう?100年あるのよ。海にどんなことするか知らないんだよ、アメリカーは。」
長すぎる反対運動。1997年から辺野古ですわり込んでいる嘉陽さんも、17年選手です。
嘉陽の男性「みぞおち?みぞおちの方が痛くてねもう。ふしがらんど-と言ってもうこっちをもんでくれと妻を起こして。苦しみ。この選挙がどうなるのか。私はこの選挙が負けたら地獄だと思っている。半永久的にこちらには軍事基地が造られますよ。」
東海岸の新人候補の事務所。人影は少なく、取材も断られましたが「知事判断で問題は決着した」と割り切る人達の支持を集めています
末松支持の女性「私達は末松さんを支持してますから。本当は反対なんですよ持って来るのは。でも国からいわれると国に従うしかないんじゃないですかね。自分たちも、ここに住みたくないと思うコトもあります。」
港に来た男性「やっぱし国には勝てんよ。どんな基地反対してもどうせ、基地はもう進んでいるでしょ。軍がやると行ったらやる。」
名護の漁協が容認姿勢を見せる中、漁業者の口は重くなっています。
漁師「漁業してるンだけど燃料が上がっているから。そういうところをもうちょっと・・・」
瀬嵩の漁師「やっぱり活性化じゃない?じゃないとみんな仕事ないし仕事がないってみんな大変しているはずだから」
辺野古の漁師の中村さんは、今回は態度を保留しています。容認派の漁師として海の上の反対運動では恐れられた存在です。
中村さん「どっちに転ぼうがもうできるものはできるんだから仕方のないコトじゃない?必ずこの選挙になったら基地問題とリンクして、毎回同じ選挙になるさ。どっちが勝手も万歳ってできないさ。そうじゃない?」
高収入が見込める国の調査船の仕事を引受けてきた漁師達。反対を言うのは難しい状況です。しかし、たった一人、反対を貫いてきた漁師がいます。
安里文雄さん「県外、県外といいながら一人で東京いってあっちでOKするということはもう考えられない。県民を騙してるんですよ」
大浦湾の豊かさをよく知る安里さんは、例え孤立しても、国の仕事は断ってきました。でも、再び漁師が分断されるのは避けたいのが本音です。
安里文雄さん「今から先は、子供、孫のために頑張らんと。一人では何もできないけど、最後までは頑張らんといけない」
4年前は市長だけでなく総理も「県外移設」で流れが変っていただけに鳩山総理の裏切りは県民の怒りを買いました。辺野古に住む文子さんは、車いすで総理の車列に飛び込む覚悟までしていました。
今は毎日夕方、キャンプシュワブの前に立っている文子さん。沖縄戦で辛酸をなめた人間の覚悟なのだと言います。
文子さん「金で売って、基地ができれば当然昔のようにして戦争が来る。そしたら金がいくらあっても金では命はね、包まれないの金ではなんにもできない。」
一方、前回は基地反対の候補を押したものの、今回は意見を変えた人もいます。
キヨタスーパー許田さん「アベノミクスと言いますかね、1ドルが100円になり105円になり。やっぱり自民党に任せた方がいいという形でね。」
生まれたときから基地と共に生活してきた許田さん。今となっては、県外移設を信じたことさえ、悪夢に感じています。
許田さん「いくら頑張っても反対しても、国策?県が承認した場合にはどうしようもないという気持ちの中でね。どこも引受けないものを地域に持ってくるんだからそれなりに条件付けて誘致をしてもいいじゃないかと」
比嘉キャスター「これだけ17年間苦しんで、期待して、失望して、というのはどちらの支持者も変らないんですね・・・」
草柳キャスター「はっきり見えてくるのは、地域の悲鳴なんですね。あすは終盤情勢です。」