沖縄が本土に復帰して35年。あすの復帰の日を前に、きのう嘉手納基地の周囲を人間の鎖で取り囲む包囲行動が実施されました。基地を取り囲んだ人たちはどのような思いを胸にフェンスの前に並んだのか?岸本記者の報告です。
元基地労働者「僕らも長い間米軍基地で働いていたけど、絶えず矛盾を感じながら、平和と生活の矛盾を感じながらこれまでやってきたんだけど」
「基地はこんなに広いのに、市民は小さく住んでいるので、そういうところを早く返還させて欲しいということで」
町の総面積の約83%を基地が占める嘉手納町で実施されたきのうの包囲行動。嘉手納基地では、敵のミサイルを空中で迎え撃つパトリオットミサイルが本格的に運用開始され、現時点で世界最強といわれるF-22もことし2月から先週まで一時的に配備されるなど、北朝鮮などを睨んだアメリカ軍の敏感な姿勢がはっきりと出ています。
きのうの包囲行動は、こうした最近の急激な基地機能の強化や軍事優先の日米同盟に抗議するため、7年ぶりに実施されました。
比嘉記者「人間の鎖が広大な嘉手納基地を取り囲みました。復帰から35年、変わることのない基地の重圧に対する人々の怒りのアピールです」
岸本記者「上空から見ても、一人ひとりの手がしっかりと繋がり、面積2000ヘクタールという、この巨大な嘉手納基地をその抗議の思いで取り囲んでいるのが分かります」
東門市長「いつも思うのは、どんなに沖縄県民が声をあげても、行動してもなかなか政府に届かない。負担は軽減されるどころか、米軍再編により機能強化されているのが現実だと思っています」
「基地そのものを肯定したらいけないということ」
「基地に依存している経済そのものもね、成り立たないですよ」
「やっぱり基地の現状をまだまだ知らない。県外からもこういう風に参加して、これだけの人数が集まるんだということを肝に銘じて、今後の活動に役立てていきたいです」
嘉手納基地の周囲18キロで手をつないだ人達。しかし、今回は参加人数が思いのほか伸びず、およそ2キロに渡って、基地を包囲できない場所ができ、人間の鎖はこれまで4回の実施ではじめて実現しませんでした。
実行委員会ではその原因について、4月に参議院補欠選挙がありその対策に追われたことや直前の大型連休で、県民への告知が遅れたことを挙げています。県外・国外に対して基地負担の軽減を訴えるメッセージ性の強い行動だっただけに、もっと綿密な準備が必要だったといえます。