きょうは去年、夏の県大会でベスト8入りし、台風の目になった名護高校です。今年も活躍が期待されていますが、その鍵を握るチームのエースが今、苦しんでいます。
県立名護高校。来年、創立80年を迎える学校には、戦前の県立第三中学校、第三高等女学校の名残りも残し、伝統校としての風格が漂よう。
また、普通校としては県内一とも言われる広い敷地内に、去年、県勢史上初の花園3回戦進出という快挙を達成したラグビー部の練習場や野球場、さらにテニスコートなども備わる程。
去年チームは、宜野座高校を3回甲子園に導いた奥浜正新監督を迎え、初采配の夏の県大会でベスト8に入る大活躍。台風の目となった。
ところで、技術力アップに向けた奥浜監督の独自メニューは宜野座時代から話題を集めたが、現在、ユニークな練習が行われている。
重さ3キロ。鉄の棒を二つ繋げたこの器具。この重い鉄の棒を振り抜くためには、スムーズな体重移動が求められ、さらに棒の先に鉄板がついていて、上手くジャストミートするポイントを見つけないと、ボールは前には飛ばない。この二つを意識することで、理想的なバッティングフォームを作り上げる打撃が売りの名護の秘策だ。
また、名護のホームベースは通常のものよりも一回り大きい。これは、甲子園でのストライクゾーンが県大会よりも“広い”という監督の経験からきたもので、常にナインは甲子園を意識しているのだ。
そして、名護の今年のテーマは“支え合い一つになる”こと。
奥浜正監督「“本当に支え合っていくというのが何なのか”ということが基本になっていく」
このテーマが生まれたきっかけは、悩めるエースの存在だった。
久高大地内野手「自分は中学から(伊良波くんとは)一緒なんですけど、あそこまで悩んでいる姿はちょっと初めてなんで、ちょっと戸惑っている」
名護のエース、伊良波光士くん。今年春の県大会前から大きく調子を崩している。
伊良波光士投手「自分の思ったように投げられないです。試合の時とかフォアボールとか良く出すんで、守備のリズムとか。バッティングも点もだんだん取れなくなってきて」
仲程泰樹捕手「自滅するというのがあいつ(伊良波)の悪い癖なんですよ。そこでどうやっていったらいいのかというのを、自分ひとりで考えてしまっていて」
そんな中、チームに大きな転機が訪れる。先月行われた練習試合で惨敗した名護。試合後、奥浜監督はナインに問いかけた。
奥浜正監督「『みんなで支え合いながら進んでいるか?物事を言い合っている?遠慮してないか?』って言ったんですね。『何か今、傷つくとこを怖れて、傷つけられることを怖れて避けていないか?』それを試合に感じたので、ぶつけてみた」
互いが支えあい、一つになるためには、本音で語り合える仲間にならなければ。ナインは初めて互いの気持ちをぶつけ合った。そして、チームは変わり始めている。
仲程泰樹主将「夏に向けて皆一つになるために、一人一人が考えてやって来ていると思います」
奥浜正監督「何でも言って良いということはないと思う。ただ、根底にお互いに高まっていこう、お互いに頑張っていこうという(思いが)あるのであれば、お互いに言い合っていいんじゃないかなって」
悩めるエースが蒔いたチームワークという種は、今、大きな花を咲かせようとしている。
久高大地内野手「一戦一戦しっかり戦って、最終的には優勝という目標に向かって、みんなで一つになって試合をしたいと思ってます」
東江敏也内野手「一人がみんなのためにとか、みんなが一人のために考えたりして、みんなで声を出していけば、チームが一つになるんじゃないかなと思ってます」
奥浜正監督「素晴らしい失敗というか、そういうことを重ねる事によって次のステップが生まれ、成功が生まれると思います」
伊良波光士投手「ちょっと最近ちょっと分かってきたような気がします。みんなに迷惑をかけているので、頑張って、夏はちゃんと投げられるようにしたい」
仲程泰樹主将「勝つためには一人一人の意識がないといけないし、一つになるという意識があったら頑張れるんじゃないかなと思います」
「甲子園行くぞ〜!お〜!」
明日は39年前、甲子園で“興南旋風”を巻き起こしたナインが監督に就任した興南高校です。