めざせ甲子園第8回は県内屈指の進学校・開邦高校。勉強と部活を両立させ春の県大会でベスト16の快進撃をみせた部員たちの底力とは?様々な試練に見舞われながらも、ひたむきに野球と向き合う部員たちの暑い夏を紹介します。
この日久しぶりにグラウンドに選手たちの声が響いた。テスト期間が終わり、10日ぶりの部活だ。
古波蔵 佑主将「テスト休みで練習できなかったから、今はみんなやりたい気持ちでいっぱいだと思います」
今年で創立22年の開邦高校。しかし、野球部の歴史はまだ浅い。開邦といえば、県内でも有数の進学校。ほとんどの生徒が大学進学を目指し、受験勉強に追われる日々を送っている。どうしても野球がしたい、先輩たちが部を結成したのは5年前のことだ。しかし、当初の練習時間はわずか30分。一勝をあげるのに2年もかかった。
今は練習時間も1時間長くなったが、グラウンドはサッカー部やテニス部と共同で使うため、外野やバッティングの練習は思うようにできない。しかし、そんな中で開邦はこの春の県大会で快進撃を見せた。ベスト16に進出したのだ。チームを引っ張ったのはエースの宮城くん。どんな場面でも動じない、精神力の強さ、安定したピッチングには定評がある。
宮城 冠投手「チームで勝てた感じ。守備とかに助けられたというのも大きいし、自分ひとりの力というよりは、みんなで勝ったような感じ。どんなバッターでも負けない気持ちで投げているので、どんな良いチームの良いバッターでも自分の球を思いっきり投げられる、それを意識して投げています」
しかし部には今年新たな試練が・・・。これまで監督をしていた先生が転勤。指導者がいなくなってしまったのだ。監督に代わってみんなをひっぱるのはキャプテンの古波蔵くん。練習メニューは古波蔵くんを中心にメンバー全員で決める。
チームメイト「みんなをうまくまとめてくれて、とても良いキャプテンです」「キャプテンは試合のときも誰よりも声を出していて、チームを引っ張っていこうとしている、良いプレーヤーです」
実はキャプテンの古波蔵くんは、前の監督にこんなことを託されていた。
『チームのことは頼む』
まじめで、人一倍責任感が強い古波蔵くん。困ったときは、前の監督に電話してアドバイスをもらうなど、チームをまとめるため奮闘している。逆境にあっても、前向きだ。
古波蔵主将「教える先生がいなくなったので、自分たちでやらなくちゃいけなくなった。一人ひとりの意識が変わってきたと思っています。みんな一つにまとまることができたので、ある意味では良いと思っています」
そんな部員たちの姿を先生たちも様々な形で応援している。
野球部顧問・伊集真紀子先生「前の監督の先生から、野球のことよりも精神的なこととか、生活指導とかをしっかり見て支えてほしいといわれた。私にできることはそれだと思って、みんなにちょっとでも声かけたりとか」
徳永拓也先生「0校時から6校時までやって、少ない時間、限られた中、しかもこんな環境で練習とかしている。一生懸命にみんなでやって、何とか良い成績をおさめたようなので、今年も頑張ってほしいと思います」
ではここで開邦の戦力分析。みんなに考えてもらった結果はご覧の通り!
バッティングの練習がなかなかできないということもあって打撃力は2点と低めだが、機動力、投手力、守備力ともに3点と、全員野球をモットーに掲げる開邦らしい結果だ。
宮城投手「前の大会の結果より一つ上のベスト8を目指して頑張っていきたいです」
古波蔵主将「野球部の一期生の先輩方も知っているので、(先輩たちが)苦労して(野球部を)作った分、勝利して、頑張っているところを見せられたら良いと思います」
チームの合言葉は「一勝懸命」。3年生最後の夏、少しでも長くみんなで野球がしたい。開邦にとって挑戦の夏は間もなく始まる!!
『めざせ8強!!』
グラウンドが使えなくても、指導者がいなくなっても自分たちの力で乗り越えていこう、一つ一つの試合を大切に戦おうという彼らの前向きな姿には、胸をうたれます。きっと大人になっても野球部で頑張ったことは大切な思い出として、貴重な経験として彼らの支えになることでしょう。
明日は浦添商業です。