塩のこと教えマース。きょうは伊江島からです。出来上がるまで100日かかる100日粗塩を紹介します。
千葉武夫さん「恥ずかしいです。ほんと歳のことは…73です」
黒糖せんべいに黒糖かりんとう、そしてイエソーダ。伊江村内で飲食店を営むかたわら、島の特産品開発に力を注ぐ千葉武夫さん。
千葉さん「物産展とか行くと、どこの島も塩を作っている。伊江島の塩と言うのがないわけですよ」
8年前、新たな特産品を!と始めた塩作り。しかし工場の中には塩が見当たりません。
千葉さん「量にしたらこれの3倍から4倍はあったんだけど、どこに行ったかわからない、みんな飛んじゃって」
去年、相次ぐ台風で建物が全壊、小屋も塩も全て失いました。しかし使ってくれるお客さんのために8か月かけて再スタート。
千葉さん「本当に大変、がっかりした。やっぱり一番愛せるものを失ったようなものだから。でも塩作りが好きだから」
ここ伊江製塩所は島の北側60mの断崖絶壁の上に立っています。
千葉さんのほれ込んだ塩、その原点となる海水も断崖絶壁の下にある湧出と呼ばれる場所から汲み上げています。吸い込まれそうな透明感。水が湧き出ることから「湧出」呼ばれ、昔からの大事な水源地として、今なお飲料水として使用されています。
千葉さん「こだわっています。琉球石灰岩があり、そこをこえてくるからミネラル、カルシウムがすごく多い」
青山「これが海水を濃縮する新しいシステム?」千葉さん「どんなかなと思ってやっている、今、試験の様な感じ」
汲み上げてきた海水は、手作りのシャワーシステムで循環させ、40日かけ塩分濃度を濃くしていきます。完全天日干しで作られる塩は一体どんな塩なのでしょうか?
カメラマンもどうしても撮影したい。「貴重な塩は残ってないのでしょうか?」
千葉さん「貴重な塩は自分たちが使うのが少し残っているぐらいで、まだバケツに残っていますよ」カメラマン「ここにあるんですか?」千葉さん「あるある。50キロくらいあるかな。これは粗塩、うちのは結晶が粗いでしょ」
これが百日かけて自然に出来上がった「百日粗塩」。マイクロカメラで撮影するとその結晶の美しさが見えてきます。
一粒一粒の大きさは約2ミリ、海水中のさまざまな栄養が抜け落ちる事なく結晶に抱え込まれています。
千葉さん「まだ完全に完成したわけではない、まだまだ時間がかかると思います。歳も歳だし、後継者もいないからやめようと思った。ファンがいるから、ファン1人1人にやめるからいいですかと断ることも出来ないし。言ったとしても作ってほしいと返事が来ると思ったし、だからもう一回だけ」
まだまだこれから、千葉さんの挑戦が始まります。
きょうの塩マメ知識は塩が湿気って固まった時の対処法!まず一つはフライパンで日カラ炒りすること、低温でじっくりと焦がさないように炒めて下さい。ふたつ目は水で溶かしてマッサージソルトとして使う事です。
1人で作っていて、しかも100日かかるので、年間わずかしか作れない。それだけに愛情もこもっていて、固定ファンも多いそうです。来月から徐々に出荷できるそうなので、また新たな伊江島の塩を使った特産品を期待したいです。