嘉手納より南の施設などの返還計画が発表されるなど、今月に入り、大きな動きを見せている基地問題。しかし、それらの計画は、普天間基地の名護市辺野古への移設を前提としたものでした。
さらに混迷を極めるこの普天間基地問題を県民はどう見ているのか?QABでは、沖縄タイムス社と合同で、緊急世論調査を行いました。調査は、今月2日から7日にかけ、県内でランダムな電話による方式で実施。1019人から回答を得ました。
質問は大きく6つ。選択肢を選んでもらう形で、普天間基地の移設先についての考え方や辺野古の埋め立て許可権限を持つ仲井真知事に求める態度などを伺いました。果たして、どのような結果が出たのでしょうか?
Q1.普天間基地返還について、どのような方法がいいと思いますか?
街頭「国外ですね」「県外じゃないですか。やっぱり、これだけ負担かかってるでね、県外でいいんじゃないですか」
まず、普天間基地の返還方法については「国外」を含む「県外」へと答えた人が全体の70.6%。「移設」でなく「閉鎖」と答えた15.4%の人を含めると、実に86%の人が普天間基地の「県内移設」に反対しているという結果が出ました。一方、「県内移設」と答えた人は12.6%でした。
Q2.あなたは名護市辺野古への基地建設計画についてどう思いますか?
名護市辺野古への基地建設計画については74.7%、4人中3人の人が「反対」と答えました。「賛成」と答えたのは15%、「どちらともいえない」と答えた人は10.3%でした。
Q3.「賛成」「反対」「どちらともいえない」その理由は何ですか?
街頭「私は辺野古の移設については、賛成。あの住宅街にあるということは、きわめて危険ですよ、だから少しでも離れたところに置く」「移設は反対。そこにまた基地が移るだけなので、沖縄県民の負担は変わらないと思いますので、やっぱり負担軽減というのであれば、移設しないほうがいいのかなと」「基地があったらね、まっさきに攻撃されるのは基地だ。普天間であろうと、辺野古であろうと、基地そのものは機能同じ」
円グラフトリキリ「反対」で最も多かった理由は「危険な普天間基地を閉鎖するため」の20.8%でした。続いて「平和の理念に反するから」と答えた人は18.9%でした。
一方、「賛成」と答えた人も29.4%が同じ理由となっています。続いて「中国や北朝鮮の軍事的脅威があるから」が27.5%となっています。
Q4.埋め立て申請をした国の姿勢を評価しますか?
Q5.仲井真知事は、どう判断すべきだと思いますか?
街頭「そういうの決めるのは国の仕事なんで、決定したことは評価したいと思います」「評価しません。(仲井真知事には)県外移設をそのまま貫いてほしいなって思います」「いや、評価しないよ!」
国の申請に対する姿勢では82.2%の人が「評価しない」と答えました。一方「評価する」と答えた人は17.8%でした。
仲井真知事に求める態度については「埋め立てを拒否すべき」と答えた人が77.3%、「埋め立てを承認すべき」と答えた人は14.7%でした。
Q6.沖縄の米軍基地は、どうした方がいいと思いますか?
街頭「職がなくなるということもあるんだけど、いずれは、なくしていっていいじゃないかなと思うけどね、基地は」「部分的に。全部はやらないでもいいと思います」「撤去ですね。事件もありますので、基地がないほうが平和に暮らせるかな」「もちろん規模縮小、普天間も返してもらって、辺野古には作らないという方向で進んでほしいと思います」
最後は、基地に対する総合的な考え方を問う質問です。
最も多いのは「全面的に撤去する」で、ほぼ半数の49.3%となっています。「縮小する」と答えた39.3%と合わせると、88.6%の人が基地に対し、現状のままではいけないと考えていることがわかりました。一方、「今のままでよい」と答えたのは6.4%でした。
ご覧いただいた調査結果は、県内を北部(名護市以外)、中部、南部、先島、そして名護市といった地区別にも集計しています。
この中で特に注目されるのは、普天間基地の移設先とされている名護市なんですが、辺野古への基地建設に対して「賛成」が18%、「反対」が72%と大半が「反対」の意思を示しています。
そして、辺野古への基地建設に対しては、もうひとつ興味深い結果がでています。
こちらは、各地区の結果なんですが、ご覧のように、全ての地区で「反対」と答えた人が大半を占めています。
これらは、普天間基地の名護市辺野古への移設に対する「反対」の機運が、全県的に高まっていることを示しているのではないでしょうか。
しかしその一方、政府は、辺野古への移設を進める姿勢を明確にしていて、県と政府の溝は現在、もっとも深くなっているのかもしれません。
普天間基地の返還が合意されて、あすで17年。今回の世論調査の結果は、あすの沖縄タイムスでも発表される予定です。