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きのう厚生労働省が発表した保育所の待機児童の数で、沖縄県は去年4月から半年で1000人増え、3000人を超えました。深刻化する待機児童問題をお伝えします。

保育園は大きく分けて2つ。認可保育所と認可外保育所があります。認可保育所とは子どもの数に対しての保育士の数など国の基準を満たし、県に認可された保育所です。近年、都市部を中心にこの認可保育所への入所がとても難しくなっています。

今週月曜日、さいたま市では認可保育所に入所できなかった子を持つお母さんたちが「保育所を増やしてほしい」と集団で市役所に申し立てを行いました。

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大都市で深刻な状態にある待機児童問題。しかし、沖縄も他人事ではありません。こちらは全国の待機児童数です。圧倒的に多いのは東京都ですが、次いで多いのが沖縄県。これを人口当たりで見ると、沖縄県がもっとも多い結果となってしまいます。

その中でも、多くの待機児童を抱える那覇市。去年10月現在で757人と、4月に比べ300人以上増えています。

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0歳と1歳の2人の女の子を育てる前田さん。4月から仕事が決まり、那覇市で認可保育所の申し込みをしました。結果…。

前田舞さん「0歳児だったら入所できる可能性は高いけど、1歳児は難しいって(市役所の担当者に)言われて。やっぱり下の子しか入れなかった。2人同じ園だったら安心して預けられたけど、別々だと行事とかも違うし、大変」

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前田さんは当初通知を受けて、2人を別々の園に通わせるつもりでしたが。なかなか踏み切れない事情がありました。

前田さん「一番は保育料。2人目半額で、3人目だったら無料。それなら助かると思って申し込みをしたんですけど、別々だと逆に高くなっちゃう」

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仮に2人が認可保育所に入った場合、2人目は半額になり、保育料はおよそ4万5千円ほど。それが別々の園に通わせると6万3千円。1.5倍の違いがあります。

前田さんは長女が認可保育所に入所できるのを待つか、利便性を考えて2人とも同じ認可外保育所に入れるか悩んでいます。

取材した秋山記者です。前田さんのように「1人が入所できてもう1人が入所できない」どんな基準で選考されているんでしょうか?

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秋山記者「基本的には両親が働いていることが前提です。他に保育できる大人、たとえば祖父母が同居しているかどうかが選考基準です。しかし、これだけニーズが高いとAさんよりBさんの方が1時間勤務時間が長いという理由だけで入所が決まることが多くなっていて、前田さんのような家庭の状況や仕事内容などはほとんど考慮されません。さらに、那覇市など1歳児以上は退所する子どもが出ない限りは入所できなく、ほとんどの認可園が常に満員の状態です」

そうなると、子どもが1歳過ぎた、または2歳になったから仕事を始めましょうとすると、ほぼ認可保育所へは入れないことになりますね?

秋山記者「那覇市などでは少なくとも0歳のうちに申し込みをしないとほとんど入れません。このような現状をどうとらえているのか、那覇市こども政策課の本部課長に聞きました」

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那覇市こども政策課・本部栄治課長「絶対数として保育所の定数がかなり足りないということは認識しています」

待機児童の解消を急務とする那覇市。来月からは中核市となることから、大都市に習い、待機児童解消のための新たな事業も考えています。

本部課長「横浜市など大都市で進められている認証保育園、これについても那覇市で進めていこうと」

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「認証保育所」とは、すでにある認可外保育所の中から市の基準を満たす園に対し、保育料の助成をするというシステムで、東京都など都市部で進められています。

浦添市ではこの認証保育制度を2001年度から取り入れています。

みやぎ保育園・川上園子園長「今まで認可外としてやってきた中で、やったことのない研修会とか研究発表とか。その中で保育士の質がやるんだという意欲、子どもを見る保育士の目の輝きは変わっていったと思います」

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自治体から認証という指定を受けることで、認可外とは違う取り組みができたと話す川上園長。しかし、一方で園を2つに分けてしまうシステムであることも指摘します。

川上園長「指定の子ですよ、認可外の子ですよという(保育料の差)がある。指定園として認定してもらったんであれば、ここにいる子ども達全員を(助成)してほしい」

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また、指定を受けても特別な補助はなく、33年間、園の環境や保育士の給与はほとんど変わっていません。浦添市の計画では2014年度で終了する予定の認証保育制度。課題は残されています。

確かに、保育所の新設を待つよりは、すぐに実施でき、待機児童を減らせるというメリットはわかりましたが、保育料の補助だけで、根本的な待機児童解消にはつながらない印象を受けます。

秋山記者「ただ、浦添市の場合はもともと6つの園が指定を受け、そのうち4つの園は認可園となったことから、認可化へつなげるという意味では良かったとは思います。ただ、保育料の一部助成だけでは、保護者にとっても保育所にとっても本当にいい制度とは呼べないような気がしました」

保育料の問題というのは保護者にとっては大きいですが「保育」という観点からするとそれだけでいいのか、やはり疑問に思います。

秋山記者「その通りです。待機児童が増えている背景は、できれば自分の子どもを設備や支援の行き渡る認可保育所に入れたいという親の思いです。一方で、認可外保育園も保育士さんたちの熱意は変わらず、一生懸命子どものサポートをしていますから、認可・認可外両方の子どもに、できるだけ平等な保育環境を整えるのは自治体の義務だと思います」