オスプレイの配備を阻止しようとアメリカで活動している女性が先日沖縄を訪れました。彼女が感じた沖縄の現状、そして、沖縄と同様に負担を押し付けられる地域が共有する課題を聞きました。
キャロル・ミラーさん「米軍の沖縄占領は続いている。正式には違うけれども、実態としては沖縄は占領下と同じ状況だ」
沖縄の基地の現状を見てこう語るのはアメリカの市民活動家のキャロル・ミラーさん。
ミラーさんはニューメキシコ州のキャノン空軍基地へのオスプレイの配備を阻止するため、全米の市民団体と連携して大規模な市民運動を展開。訓練を延期に持ち込みました。
今回の沖縄訪問では、嘉手納基地や普天間基地を視察したほか、基地周辺に住む人たちと交流しました。
ミラーさん「学校などありますか?」町議会議員「県道からわずか200メートルしか離れていない所に学校があります。授業中断も度々あります」
中でも嘉手納町では、町議会議員や町長が彼女の訪問を待っていました。
2年後にも空軍のオスプレイが配備されるのではと取り沙汰されている嘉手納基地。
空軍のオスプレイは輸送業務を担う海兵隊のものとは違い、特殊作戦に使われるだけに事故率もさらに高く、去年6月にはフロリダで墜落事故を起こしているのです。
地元・嘉手納町では何としてでも配備を止めなければと、気が気ではありません。
当山嘉手納町長「これ以上我慢できない被害を受けている中で配備されるとなると、この地域はとても住める状況ではない」
ミラーさん「政治レベルでは、アメリカ軍はここに配備するのでしょう。もしも嘉手納基地への配備を止められたなら、世界中へのオスプレイの拡大が防げます」
オスプレイの配備を止めるという同じ課題を抱えるアメリカと沖縄の人々。ミラーさんの話からは基地を押し付けられる地域が抱える共通の苦しみ、そして押し付ける側の一方的な論理が見えてきました。
ミラーさん「今もっと懸念されるのは、地域を分断して、より声の少ない地域の人に負担を押し付けてしまうこと。米軍は守ってもらうためには、軍隊を支援すべきだと言ってきます。オスプレイの騒音さえ『サウンド オブ フリーダム=自由のための音』というのです。守ってもらうためには、国民も強くならなければというのです。しかし彼らは我々を守ると言いますが、同時にこれはターゲットでもあるということなのです」
講演会でミラーさんはオスプレイの配備を止めるために、自分たちが集会を開いたり、ビラを配布したりして、訴えてきたことを説明しました。
しかしそれは沖縄では何十年も続いていること。沖縄のさらに厳しい状況を感じ取ったミラーさんからはこんな意見もあがりました。
会場「年間も米軍基地に支配され、被害を受けている。それを撤去させるにはどうしたら良いか?」ミラーさん「私たち米国民が沖縄の人たちを助けなければならないと思います。なぜならオスプレイの配備は米国政府がやっていることで、オスプレイの購入費用も私たち米国民の税金だからです」
最後に、ミラーさんは自分たちアメリカ国民が沖縄の人たちを支援するべきだと述べ、これからもつながっていく考えを示しました。
ミラーさん「米国民こそが米国政府を止められるのです。私が沖縄の皆さんから学んだことを米国に持ち帰って広めたいと思います」
ミラーさんは、アメリカ軍が去年普天間基地へのオスプレイの配備を前に公表した環境レビューについては「県民を侮辱した内容」だと指摘していて、アメリカの環境保護法を軍事訓練が行われている沖縄でも適用すべきだと述べています。
ニューメキシコ州も沖縄と同様に観光業が盛んな地域だということですが「オスプレイが訓練を始めたら、自然が壊され、観光業が衰退し、失業する」ということで経済界からも多くの人が反対運動に参加したということです。
日本とアメリカで同じ目的に向かって活動している人たちと情報交換をしたり、意見を聞くことで、解決に向けた突破口が見つかるかもしれません。