まるでピラミッドのような塩。きょうは与那国島の黒潮からできる宝石のような美しい蔵盛さんちの塩を紹介します。
蔵盛京子さん「見える、粗塩が出来はじめの時はもっときれいなんです」
日本最西端の島、与那国島。その目の前に広がる力強い黒潮から作られる「蔵盛さんちの塩」。その名の通り、蔵盛さん一家みんなで塩作りに励んでいます。
海水をくみ上げて、塩作りに適した濃縮海水を作るのは、父・章夫さん。それを煮詰めて塩にするのが娘の京子さん。そして袋詰めにした商品にシールを貼るのは母・つる子さんです。
娘・京子さん「お父さんは、いつも上等な海水をくんでね炊いてくれるから、いつも美味しい塩を作れる。ありがたいです」
そのこだわりの海水は、汲み上げたとき、一度くぼみに溜め、2~3日天日に干して使います。
父・章夫さん「最初汲み上げてから味を見て、自分の満足した味じゃないと海水は汲まない」
そして手作りの釜で三段階に分け、丁寧に不純物を取って行きます。
父・章夫さん「黒潮の持っている力をどこまで引き出せるか、僕と塩との勝負なんです。
父・章夫さん「これが僕の塩の素なんです。ぐっときますよ、ぐっと来るけど甘みがある」青山「お塩の味の原形がここにある感じがします」
父・章夫さん「塩一粒一粒作るにしても、僕がやっている事はごく一部なんです。蔵盛さんちの塩のごく一部。僕はどれだけうまい塩水を作って娘に渡すか」
その父の技を継いで塩の結晶工程をまかされているのが娘の京子さん。中学を卒業後、一度は島を離れましたが、故郷で仕事をしたいと親子での塩作りをスタートさせました。
娘・京子さん「やっていくと、お父さんの言っていることもわかるし、自分の中でもこんな風にやった方がいいとかある。そういう意味では受け継ぐというのはある」
今では父親譲りのこだわりも。
娘・京子さん「同じ冬でも、この間みたいに暑かったり寒かったりで、結晶自体も反応しないときもある。(Q:どの位の温度?)ぬるま湯ぐらい」
天候や気温が影響するため煮詰める時間はきまっていません。
娘・京子さん「お父さんも言っていましたが、ほんと自然まかせ」
海水を優しく見つめながら、塩の結晶が出来るのを待ちます。この透き通るような結晶の形が蔵盛さんちの塩の特徴です。時には10cm程の大きな結晶も。
娘・京子さん「どんなにいい結晶になっても、海水自体が美味しくないと。お塩自体が食べるものだから、美味しくないと提供するのも心が引ける。そういう意味ではお父さんのくんでくれる海水、濃縮する味は一番大事」
父・章夫さん「使ってもらってよかった、美味しかった、その言葉ひとつのために塩作りをしている」
娘・京子さん「『蔵盛さんちの塩』だけど、いろいろな人たちが関わっている事を忘れないで、これからもいい塩を作れたら」
島の自然を形にして全国へ。「蔵盛さんちの塩」は日本最西端の島から挑戦を続けています。
そんな蔵盛さんちの塩に合うのはかぼちゃとナスのソテー。指で砕きながらパラパラ振りかけると、適度なしょっぱ味とキレの良い後味で、野菜の甘味を引き立ててくれます。