沖縄が切り離された日に主権回復を祝うという政府に、厳しい声が相次いでいます。政府は12日、朝の閣議で1952年のサンフランシスコ講和条約が発効した4月28日が「主権回復の日」にあたるとして、政府主催の式典を開くことを決定しました。
12日に開かれた閣議では、4月28日に政府主催の式典を開くことを正式に決定しました。
式典の開催は、自民党が2012年の衆院選で公約に掲げていたもので、安倍総理も3月、国会での質問に「日本が主権を失っていた期間を知らない若い人が増えている。日本の独立を認識する節目の日だ」と答えていました。
しかし、沖縄や奄美では、この日を境にアメリカ軍の統治下に置かれたため「屈辱の日」と呼ばれています。
県民「沖縄なんかどうでもいいって感じですね。全く沖縄についての配慮がないという感じがします」「私もあまり聞いたことなかったので恥ずかしいんですけども、やっぱり若い方たちのためにもきちんと広めたほうがいいかと思いますけど」「すごい腹が立ちます」「結局、安倍政権が支持率60%越して、すごい強気になってるからイケイケみたいな感じになってて、なんかもうちょっと考えてほしいなと思います」
瀬長亀次郎さんの次女・内村千尋さんは「毎年4月28日には与儀公園で多くの県民が集会をしてきたという歴史があります。米軍の統治下で、沖縄の人たちがいろんな保障をされないで泣き寝入りをした事件とか、痛ましい事件も次々起こったり。沖縄の歴史をふまえたら、こういう式典はすべきではないと言うべきじゃないかと思っています」と話します。
また沖縄大学の新崎盛暉名誉教授はこうした政府の動きに警鐘を鳴らします。沖縄大学・新崎盛暉名誉教授は「7年間の占領下のことを知らない若者はいるかもしれないけれども、この講和条約がどういう意味を持っているか、この首相自身がわかっていない。北朝鮮とか中国に対する敵視政策を進めていく上で、何か日本が自立をしているかのような幻想をまき散らさなければいけない、そのための一つの節目としてこの日を選んだ」と話していました。
こうした事態を受け、自民党県連は3月15日に上京し、政府や与党に対し遺憾の意を伝えた上で、県民感情への配慮を求める方針です。