オスプレイの強行配備から5か月、先週末の伊江島では、このオスプレイ問題の原点を問おうと、島で初めての反対集会が開かれていました。
今月2日、伊江島に人目をひくトラックがやってきました。荷台には銃剣を構える、アメリカ兵の彫刻。それに対峙する中に、ある人物の姿がありました。
金城実さん「島ぐるみ闘争の生みの親であるということで、阿波根昌鴻先生の火種を絶やしてはいかんという思いがあってですね、伊江島まで乗り込んできた。」
アメリカ軍に接収された土地の返還を求めて、伊江島の土地闘争の先頭に立った阿波根昌鴻さん。今月21日の11年目の命日に合わせ、改めて原点に立ち返ろうと、伊江島ではじめて、オスプレイの反対集会が開かれました。
平安山良尚さん「もうひっきりなしに来ています。1月の25日、27日と。本当にいっぱいで。」
島の現状をこう訴えるのは、平安山良尚さんです。
伊江島では、アメリカ軍基地が、島の面積の3分の1を占め、人々の頭上では、オスプレイが激しい訓練を続けています。基地の真横で暮らす平安山さんは、オスプレイに反対するのは、不安や恐怖からだけではないといいます。
平安山良尚さん「ベトナム戦争にもこっちから行ってるしですね。(米兵が)向こう(ベトナム)で首を取って勲章をもらったみたいなことを言っていたんだけど、やっぱりこの国が殺人鬼を作っていくようなもので、国がやるのは罪にならないのか、と。殺人者ではないのかと。自分は単にそう思いますね。」
基地があるがゆえに、自分たちが戦争の加害者の側に立ってきたという思い。その苦しみが、土地闘争の原点にあるといいます。
先週末、普天間基地で人々が怒りの声をあげたのは、海兵隊が県内の日本人家族を招いて開いたオスプレイの見学会です。
デヴィッド部長「機体や性能についてよく知ってもらい、オスプレイが必要だという理由を学んでもらえるだろう。」
さらにオスプレイの安全性を必死にアピールするのは、会場に配置されたパイロットたちです。
パイロット「オスプレイの操縦は非常に簡単です。変換モードは最高にクールですよ。」
伊江島での訓練について別のパイロットに尋ねました。
大矢記者「オスプレイがコンクリートブロックを吊り下げているのを見ましたが、どんな訓練をしているのですか?」
海兵隊関係者「消火活動だ、消火活動と言って。」
パイロット「そのコンクリートブロックについては・・・つまりその訓練については・・・僕らがやっているのは・・・消火活動のためだ。」
大矢記者「コンクリートブロック自体は、一体何の訓練なのですか?」
パイロット「それは「貨物」を積載した状態での飛行訓練です。」
大矢記者「戦車とかですか?」
海兵隊通訳「そうですはい。そうです。」
戦争の加害の側に立ちたくないという伊江島の人たち。しかし、その気持ちとは裏腹に、生まれ育った島で、いまだに戦争の訓練が行われているという事実。変わらないこの沖縄の現状を阿波根さんはどう見るでしょうか。
自分たちの土地を戦争のためには使わせないと、戦い続けた阿波根さんが亡くなって、今月21日で11年です。
本土でのオスプレイ訓練がきょうから始まりました。日本全体でオスプレイ訓練が常態化する前に私たちは原点を見つめなおす必要があるではないでしょうか。