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今月、長年アメリカ軍基地を取材してきたある軍事ジャーナリストが沖縄を訪れました。

県内では、普天間基地や嘉手納基地へのオスプレイのさらなる配備が取りざたされていますが、彼が注目したのは、オスプレイだけではありませんでした。その視線の先にあるものとは。

石川巌さん「だから、嘉数から見えるのはこっち?南側のとき?北側じゃ見えない?」大久保さん「見えないです」

普天間基地のオスプレイに目をこらすのは、軍事ジャーナリストの石川巌さん。ガイドを務めるのは、アメリカ軍の動きなどに詳しい沖縄県平和委員会の大久保康裕さんです。

石川さんと大久保さんは、共にオスプレイの機能や任務を紹介する本を出版するなど、長年アメリカ軍基地を見つめてきました。

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大久保さん「尾翼の赤いのが隊長機です」

現在79歳の石川さん。元々は全国紙の記者で、アメリカ軍基地のある横浜やバンコクの支局などで、基地取材の経験を重ねてきました。

これまでに、アメリカ政府の資料などでオスプレイの写真は見ていたといいますが、実物を見るのはこれが初めてです。

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石川さん「ザリガニみたいな感じ、ローターががこうなってて。15年ぐらい前にそういう写真が出て、日本政府は一貫して、そんなの来ないと言ってたわけでしょ。今度のCV22ってそんなの来ませんと。同じ構図だよね」

この日、金武町のブルービーチ訓練場など、オスプレイの着陸帯がある地域を見て回った石川さん。今回、特別に行きたかった場所がありました。

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キャンプ・ハンセンにあるアメリカ軍の通信施設、通称「ダチョウの園」。「オストリッチ(ダチョウ)」と名付けられたヘリの着陸帯があった場所に建設されたことから、こう呼ばれるようになりました。

近年注目を集めることは少なくなっていましたが、これは2007年まで読谷村にあった楚辺通信所、通称「象のオリ」の代替施設なのです。

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石川さん「象のオリというのは、オリの中に横から来る短波を傍受してる施設。今度のはね(アンテナが)ものすごい小さいんだ。なんて言うのかアンテナが50ぐらいある」

今ではまるで、プリンにたくさんの爪楊枝を刺したような形に大きく姿を変えているといいますが、その機能や任務については明らかにされていません。

石川さん「こっちが三沢の(機能)まで代替しているのか、それはわからないんだけれども。とにかく規模は大きくなってるよね。楚辺よりはね」

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実は、青森県の三沢基地にもある「象のオリ」。石川さんは近年、三沢の「象のオリ」の通信機能の一部をこのキャンプ・ハンセンの施設が補っているのではと考えています。

石川さん「新しいものが技術革新でできてるから変わってくる。ターゲットに中国というのが浮上して、中国向けの戦略、そのための布陣をすると」

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県民の知らぬ間に、進化していくアメリカ軍施設。こうした事例は他にもあります。これは去年8月、キャンプ・ハンセンで大久保さんが撮影した迫撃砲の訓練のようす。

大久保さん「模擬弾のようなものを装着して、撃つまねをしたり、それからM1163ITVという車両の扱いをするための訓練をあそこでやっていました」

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これは、その迫撃砲を載せたままオスプレイに乗り込むことができる新型車両。それまで県内には見られなかったものだといいます。

大久保さん「オスプレイの配備の前に、既にそういう配備を前提とした訓練が先行していたというふうにいえるのではないかと思います」

石川さんや大久保さんが注目するアメリカ軍の施設や装備。これらは、私たちが気づかない間に代替わりし、強化されていくのは、オスプレイだけではない、ということを示しているのです。

アメリカ軍基地をめぐる報道や世論というのは、オスプレイや象のオリのような目につきやすいものに注目が集まりがちです。

しかし、石川さんと大久保さんは、アメリカ軍の動きを見る際には、とにかくオスプレイだけではなく、その総合的な運用のあり方に注意しなくてはいけないと話していました。

また、常に最新のものにバージョンアップされていくアメリカ軍の施設や装備からは、沖縄の負担軽減どころか、より強化されていくばかりの基地の姿が浮き彫りとなっています。