県民の反発の中、オスプレイの配備が強行されてからきょうでちょうど1カ月。ステーションQでは様々な角度から、オスプレイの危険性や被害などを検証します。一回目のきょうは「騒音」被害について考えます。
おととい午後10時過ぎ、ルール違反の夜間飛行をして普天間基地に帰って来たオスプレイ。このときの騒音は88.3デシベル「騒がしい工場の中」に近いレベルのものでした。
10月1日に普天間基地に配備されて以来、県内を縦横無尽に飛び回る様子が目撃されていますが、その姿とともに特徴的な音も確認されています。
那覇市内での目撃者「何か鈍い音が聞こえて、そしたら向こうの方から見えて来て、家の上を通って、斜めの方に抜けて行った。見上げていたら、鈍い感じの音がドドドドドって聞こえてきて、そのまま行った感じです」
県が配備初日に実施した騒音測定によると1機目と2機目が到着した午前11時6分ごろには、侵入経路にあたる上大謝名地区で「地下鉄の車内」のうるささに相当する83.7デシベルを記録。また3機目から6機目が到着する際も、86デシベルから89.2デシベルと激しい騒音が記録されました。
また配備2日目。今度は海側から宜野湾方面に侵入してきましたが、このときには93.2デシベルと「騒々しい工場の中」に相当する著しい騒音が記録されたのです。
しかし音の被害はこうした通常の騒音だけではありません。
普天間基地の周辺やオスプレイの飛行ルートとなっている地域で騒音測定をしているのは、琉球大学工学部の渡嘉敷健准教授。渡嘉敷准教授はある特徴に気が付きました。
渡嘉敷健准教授「いま現在わかっていることは、初日の一日のオスプレイが着陸した時点で、低周波音が測定されたということ」
渡嘉敷准教授が指摘する低周波騒音。バスやトラックなどのエンジン音、冷蔵庫やボイラーの音など、身近な生活の中の様々な音に含まれますが、それらが大きくなると不眠や不快感をもたらすなどこともあるのです。
こちらは渡嘉敷准教授が集めたデータ。水色の線が人に不快感や圧迫感など心的影響をもたらすとされる周波数の基準。そしてオレンジの線が窓や建具の揺れ、ガタツキなど物的影響をもたらすとされる周波数の基準です。いずれを上回っても低周波音が発生していることになりますが、オスプレイの場合は両方とも上回っていることがわかります。
渡嘉敷准教授「心理的に圧迫感を伴うとか、イライラ感を増長させるとか、不快を引き立たせるとか。ちょっと締め切った部屋で低周波が発生すると、建物のガタツキがあったりするでしょうし」
しかし渡嘉敷先生もこれまでCH-46ヘリコプターやKC130輸送機などの騒音測定で、ここまで明確な低周波のデータは検出できなかったといいます。
渡嘉敷准教授「低周波そのものはあるんですが、よりオスプレイの方が顕著に表れているということになるんだろうと思う。大きく比較すると、オスプレイの方が低周波がでやすいヘリということになると思いますね」
配備からわずか1カ月で深刻さが浮き彫りになったオスプレイの騒音。
29日には宜野湾市の上大謝名地区で96.1デシベルを記録したほか、19日には同じ上大謝名地区で97.3デシベルと電車が通るときのガード下のうるささにも相当する激しい音が確認されています。
日本政府はオスプレイの配備を前に、騒音についてはCH-46ヘリコプターよりも低くなると説明していましたが、わずか1カ月の測定結果を見てもその見通しは甘かったと言わざるを得ず、今後訓練が本格化すれば、さらに住民にとって厳しい状況になることも予想されます。
VTRで紹介した琉大の渡嘉敷准教授は学校施設の騒音環境を調べています。低周波音については、普天間第二小学校の教室内でも確認されています。小学校の校舎は防音工事も行われていますし、一般住宅と比べても厚いコンクリートで強固に造られていますが、そんな校舎の中でも低周波音が測定されています。
現在、騒音の測定を行っているのは普天間基地周辺など一部でしかなく、国に対しては責任を持って飛行ルートや訓練場になっているほかの自治体でも調査をし、被害が発覚したらきちんと対処することが必要だと思います。