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先週月曜日の午前10時35分頃。乗員乗客165人を乗せ、台湾から那覇に到着した中華航空のボーイング737型機。

比嘉記者「炎上した機体は黒焦げになり、胴体の後ろから見て、右の翼にかけてぐにゃりと折れ曲がり、胴体は穴だらけです。もはや原型をとどめていません」

乗客「立って降りる準備をしていたが、その後に煙が見えると誰かが言って、その後、ちょっとしてから火が見えて、皆がざわざわしだしてパニック」

乗客は機体前方と後方のシューターから脱出して、奇跡的に全員、無事でした。

乗客「私は(飛行機の)前から、夫は後ろから避難した。降りた一分後くらいに爆発が起きた。機内に何人か取り残されていると放送があったので、非常に緊張した。お互いを発見した時、夫は泣いていた』

夜9時、台湾から駆けつけた中華航空の社長が記者会見。

中華航空・趙社長「今回の事故で、多くの乗客やみなさまにご迷惑とご心配をかけたことを心からお詫びします」

実近記者「航空事故調査委員会による実況見分が始まりました」

国土交通省と県警、それに台湾の航空当局は翌日から機体の検証を開始。コックピットからフライトレコーダーを回収しましたが、火災の原因となった燃料漏れがどこから起きたのかについて、この時点ではまだ特定できません。

台木主席調査官「燃料らしきものが見えているという事実のみを確認したのであって、それがいかなる原因によるものなのかという所までは踏み込んではいない」

乗客「着の身、着のままでどうしてくれるの?」

趙社長「何とかすぐ対応します」

事故にあった台湾からの観光客に謝罪し、一人100ドルの見舞金を手渡す趙社長。その日の夜、中華航空はイメージの低下を懸念してか、尾翼に書かれた花のシンボルマークや会社名を白いペンキで塗り隠します。

また、台湾に帰国した事故機の機長は乗員・乗客を無事避難させたとして、まるで英雄のような扱いを受けます。

機体を製造したボーイング社のメンバーも合流し、なおも続く実況見分。事故から4日目。事故調査委員会はついに燃料漏れの原因を突き止めます。

台木主席調査官「大事なことはこのトラックカンの一部がこのボルトの頭によりまして突き破られ、穴が出来ている」

燃料タンクを突き破った長さ4センチあまりのボルト。このボルトは航空機が離着陸する際、揚力を得るために使われる「スラット」と呼ばれる装置の収納箇所と燃料タンクの壁に突き刺さっていました。ボルトはなぜ脱落しまったのか?

事故調査委員会は、ボルトに本来取り付けられているはずの部品の一部が外れた状態で見つかったことから、中華航空の整備ミスが事故の原因という見方を強めています。

たった一本のボルトが原因であれだけ大きな航空機が爆発してしまうというのは本当に驚きと恐怖を感じます。

岸本記者「今回、事故を起こした中華航空機はまだ製造から5年しか経っていない最新鋭機です。この737型は燃料効率、つまり燃費が非常に良く、世界でも2300機が空を飛んでいるとても人気の高い機種で、それだけに航空業界に与えた影響は計り知れないものがあります」

岸本記者「ここでもう一度、なぜ、事故が起きたのかということを整理します。最初の燃料漏れは、機体右側の5番スラットという場所で起きました。このスラットというのは飛行機の浮力を高めるためのものです。飛行機が着陸する際にはスピードが落ちますから、浮力が落ち、急降下してしまう可能性があります。そのため、このスラットという部分を前にせり出して翼の面積を広げ、浮力を維持します。着陸した後は、もう浮力は必要ありませんから、このスラットが翼の元の場所に収納されるわけです。このスラットが収納されるときに、何らかの原因で外れたボルトが奥の部分ではさまれ、燃料タンクを突き破ったというのが事故の原因です」

乗客の中には、空を飛んでいるときから、翼から煙が出ていたと証言している人もいますが、ボルトがいつ脱落したのかははっきりしているんでしょうか?

岸本記者「その点がまだはっきり分かっていません。ですから今後の調査の一番の焦点は、このボルトがいつ、どのように抜け落ちたのかというところになってきます。脱落したボルトには本来8つの部品が取り付けられているはずですが、実況見分で発見された時、ボルトには3つの部品がついていませんでした。この3つの部品は、破損がない状態でボルトとは別の場所で見つかったので、中華航空の整備のミスが原因ではないかという見方が強まっています」

今後の調査はどのように進むんでしょうか?

岸本記者「事故調査委員会の実況見分は先週土曜日で終了していますから、今後の調査は東京で、押収した部品の分析などが行われます。また、空港に残された機体の残骸は今後、解体・撤去される予定ですが、それがいつになるのか、まだ目処は経っていません。撤去作業がはじまるのは、早くてあさって以降になりそうです」